建設現場では作業員の新型コロナウイルス感染防止を徹底する取り組みが欠かせない状況だ。政府の緊急事態宣言が2020年4月7日に発令され、複数の建設現場で現場監督や作業員の感染が判明し、死亡に至る例も発生。特定警戒都道府県を中心に、新型コロナウイルス感染防止のために建設工事を中断する現場が続出した。
しかし、当初5月6日とされた緊急事態宣言の期間は延長された。いつまでも工事を中断させたままにしておくことは厳しい状況だ。感染防止策を徹底することで工事の再開を模索する動きも出てきた。緊急事態宣言の解除時期はまだ不透明だが、たとえ解除されたとしても、それで感染リスクがゼロになるわけではない。感染防止に取り組みながらの工事は長期間に及ぶ見通しだ。
建設現場で必要な感染防止策について、緊急事態宣言後の4月8日、国土交通省は「新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた工事及び業務の対応について」を発表した。
対策の基本は次の3つだ。まず、マスク着用、消毒や手洗いなどを徹底するなど、作業員の健康管理に留意すること。次に、作業員の感染と濃厚接触が判明した場合の連絡体制を構築して、該当者への適切な措置を取ること。さらに、感染リスクの高い「3密」の回避とその影響を緩和する対策を実施することだ。
3密の対策として首相官邸と厚生労働省は、周囲にいる人との距離(ソーシャルディスタンス)を2m以上取ることを推奨している。
4月17日に公開された「建設現場『三つの密』の回避等に向けた取組事例」は、国交省が先に示した3つの基本的な対策について、主として公共工事の現場でどのように実施しているかを示したものだ。
現場にアルコール消毒薬を常備する、サーモカメラで作業員の体温を計測する、作業員間の距離を2m以上開けて朝礼する、オンラインミーティングで現場と打ち合わせをするといった様々な取り組みが紹介されている。