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国土交通省の庁舎。在宅勤務する職員は少なくない(写真:日経クロステック)
国土交通省の庁舎。在宅勤務する職員は少なくない(写真:日経クロステック)
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 大型連休を経て作業を再開する工事現場が増えている。とはいえ、新型コロナウイルスへの対策として、現場事務所や営業所において「3密」を避けるべき状況に変わりはない。現場作業に当たる技能者はともかく、元請けの技術者が継続的に、または交代でテレワークを実施する必要性は現在もある。工事の発注者との対面でのコミュニケーションが平時と比べて難しい状況は続いている。

 国土交通省の「駆け込みホットライン」は本来、建設業法違反の通報を下請け会社や一般市民から受け付ける窓口だが、最近は建設会社から自社の新型コロナウイルス感染症対応の適法性について相談を受ける事例も増えているという。

 「建設会社から駆け込みホットラインや各地方整備局などに寄せられる相談で最も多いのは、感染防止策関連で約4割を占める。ただ、建設業法関連も3~4割と多い」(同省建設業課の高芝利顕・建設業適正取引推進指導室長)

 ホットラインや地整に多く寄せられる質問について、高芝室長への取材などを基に解説する。


問:営業所の専任技術者や工事現場の監理技術者などは、テレワークでも務めることができるか。

答:「専任」の状態が保たれ、営業所や現場と連絡が取れるならテレワークでも可能。

 建設業法は建設業許可の要件として営業所に専任技術者の配置を、土木工事の場合は下請け金額が4000万円以上の工事に監理技術者の配置を義務付けている。それぞれに該当する技術者がテレワークとなることについて、高芝室長は次のように説明する。「担当する営業所や工事の専任という状態が保たれ、営業所などと常に連絡が取れる態勢となっていれば問題はない」


問:工事契約の締結で電子メールを利用してもよいか。

答:建設業法19条3項などに定めた要件を満たせば利用できる。

 違反に対する罰則こそないものの、建設業法は建設工事請負契約の手続きとして、署名または記名押印をした書面を取り交わすことを19条で定めている。しかし、対面だけでなく外出を極力控えたい発注者から、電子メールなどを利用した電子契約を求められることもあり得る。

 同法19条3項が、書面によらない電子契約を可能としている。メールに添付して書面の代わりに取り交わすPDFファイルなどの電子データについては、同法施行規則13条の2の2項で、2つの要件を定めている。1つはプリンターに出力して書面を作成できること。もう1つは、ファイルに記録された契約事項について、改変が行われていないかどうかを確認できる措置を講じていることだ。後者の措置としては、電子署名や電子的な証明書の添付が必要になる。

 施行規則13条の2の2項については、国交省が2001年3月にガイドラインを発表したほか、経済産業省も18年1月、電子契約サービスを所管する官庁の立場から解釈を提示している。


問:決算変更届の提出や経営事項審査の申請などの期限は延長されないのか。

答:新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象となれば延長されるが、まだ分からない。

 新型インフルエンザ等対策特別措置法57条は、感染症の全国的で急速なまん延で国民の生活や経済に甚大な影響が及んだ場合、政府は国民の権利や利益を守るため、権利の期間延長などの措置を講じることができると定めている。

 これは大規模な災害の発生で、特定非常災害特別措置法に基づき政府が被災者に対して行うのと同様の措置だ。例えば16年の熊本地震では、国交省は被災地に主要な営業所を置く建設会社を対象に、決算変更届の提出期限や経営事項審査、建設業許可の各有効期間をそれぞれ延長した。

 今回、新型コロナウイルスで感染者が多く出ている地域の建設会社も同様の措置を受けられるかというと、5月中旬時点では決まっていない。新型インフルエンザ等対策特措法57条が、建設業法関連の権利に適用されていないためだ。同法は内閣官房の所管であり、適用対象は政府全体で個別に判断することになる。

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