全3397文字
PR

 新型コロナウイルスの感染拡大は緊急事態宣言が解除されたものの、警戒ムードは依然根強い。住宅営業の実務でも、リアルな場での活動は、一定の制限を余儀なくされるとみられる。こうした背景から、集客戦略として、SNS(交流サイト)などを活用したWebマーケティングに注目する住宅実務者は少なくない。SNSを効果的に運用するためには、一定以上のフォロワー数を確保することが不可欠。「アフターコロナ」の住宅営業で、重要なテーマの1つになる。

 三重県四日市市の設計事務所、アトリエオーブを個人で運営する西本哲也氏は50代前半。1年ほど前から、モバイル向けのショートムービーを投稿するSNS「TikTok(ティックトック)」の活用に力を入れている。近年急成長して注目を集めているSNSだ。西本氏は「短期間でフォロワー数を増やすのにとても有効だ」と力説する。

三重県四日市市の設計事務所、アトリエオーブの西本哲也氏は、TikTokで公開しているアカウント「madoriya03(間取り家03)」で情報発信。InstagramやYouTubeチャンネルと複数のSNSを連携し、動画コンテンツで効果的な集客につなげている(資料:アトリエオーブ)
三重県四日市市の設計事務所、アトリエオーブの西本哲也氏は、TikTokで公開しているアカウント「madoriya03(間取り家03)」で情報発信。InstagramやYouTubeチャンネルと複数のSNSを連携し、動画コンテンツで効果的な集客につなげている(資料:アトリエオーブ)
[画像のクリックで拡大表示]

 西本氏はもともと2017年からInstagramの活用に注力し、自ら作成した手描きの間取りスケッチ画を多数投稿して人気を博していた。フォロワーから間取り相談を受ける形で見込み客を集客し、設計受注につなげてきた。しかし、フォロワー数は2万人近くに達すると増加の伸びが鈍化。そこで目を付けたのがユーザーが増加中のTikTokだ。「madoriya03」というアカウント名で投稿動画を公開している。

 「TikTokのユーザーには、住宅の1次取得層である30代前後の層も多い。TikTokを利用している設計事務所や地域工務店はまだ少ないので、集中的に取り組めばアドバンテージを期待できる」(西本氏)。TikTokで集めたフォロワーを既存のInstagramアカウントに誘導して相乗効果を得ることも期待している。

西本氏がTikTokのアカウント「madoriya03(間取り家03)」にアップしているのは、間取りスケッチを描いたり、設計した物件を紹介したりするショートムービーだ。TikTokでは、再生回数が数十万回を超えると「いいね」の回数(ハート形マークの数字)が万単位で付く。上の画像は「いいね」が1万6200件、下は3万6700件付いた例(資料:アトリエオーブ)
西本氏がTikTokのアカウント「madoriya03(間取り家03)」にアップしているのは、間取りスケッチを描いたり、設計した物件を紹介したりするショートムービーだ。TikTokでは、再生回数が数十万回を超えると「いいね」の回数(ハート形マークの数字)が万単位で付く。上の画像は「いいね」が1万6200件、下は3万6700件付いた例(資料:アトリエオーブ)
[画像のクリックで拡大表示]

 西本氏がTikTokにアップしているのは、間取りスケッチを描いたり、設計した物件を紹介したりするショートムービーだ。一般に、SNSでフォロワーを増やすには、「“バズ”ること」(短期間に多数のユーザーが閲覧したり、動画を再生したりすること)が必要。TikTokで公開した動画の再生数を伸ばすために様々なアイデアを試したが、最初はなかなか“バズ”らなかった。だが数カ月間、試行錯誤を繰り返すうちに、コツがつかめてきたという。

 西本氏が実感したコツとは、いくつかある。まずは動画1本当たりの長さだ。再生回数を稼ぐには、TikTokのトップページで「おすすめのアカウント」として紹介されることが大事。そのために重要なファクターの1つが「視聴完了率」(動画が最後まで再生された割合)。これが高いと取り上げてもらいやすく、閲覧者の目に留まる機会が増えることになる。西本氏は経験と研究を重ねて、1本当たり15秒程度の長さが最も効果的と判断。「15秒の中で見る人の関心を引く要素をどれだけ詰め込めるかが勝負だ」と話す。

TikTokでは利用者が、あらかじめラインアップされている様々な楽曲を無料で投稿動画に付けることができる。「この選曲にも、再生回数を増やすコツがある」と西本氏は話す(資料:アトリエオーブ)
TikTokでは利用者が、あらかじめラインアップされている様々な楽曲を無料で投稿動画に付けることができる。「この選曲にも、再生回数を増やすコツがある」と西本氏は話す(資料:アトリエオーブ)
[画像のクリックで拡大表示]

 次に重要なのが「選曲」だ。TikTokでは、投稿動画にあらかじめ用意された音楽を無料で付けることができる。西本氏は、当初は自分の好みだけで選曲していたが、途中から他の投稿動画で流行している曲を意識的に選ぶように変えた。その結果、自ら投稿した動画の再生数は明らかに伸び、視聴完了率も高くなることを実感。さらに、「間取りスケッチ」「物件紹介」など動画のテーマごとにそれぞれ同じ曲を使うと認知度が上がる、といったことも分かってきたという。