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 まず大前提として、このRyzenとインテルのCore iシリーズには互換性がある。Windows 10は、Core i搭載パソコンとRyzen搭載パソコンで全く同じように動作する。

 米マイクロソフト(Microsoft)の「Office」や米アドビ(Adobe)のクリエーター向けアプリ、一般的なPCゲームやツール類も動作するし、プリンターやディスプレー、USBメモリーなどの周辺機器も同様だ。Ryzen搭載のパソコンだからと言って、アプリや周辺機器を買い直す必要はない。

デスクトップパソコン向けのRyzen
デスクトップパソコン向けのRyzen
(撮影:竹内 亮介)
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 こう聞くと、RyzenはCore iのコピー品のように聞こえるかもしれない。しかしその認識は間違っている。乗用車に例えてみよう。「道路を走る」という面から見れば、トヨタと日産の乗用車は同じだと言える。

 トヨタの乗用車専用の道路はないし、日産の乗用車専用のガソリンや運転免許が用意されているわけでもない。しかし両者のエンジンの内部設計は異なるため、コピー品にはならない。

 Core iとRyzenもこれとよく似た関係にある。CPUに入力されたデータをどう処理するかのアーキテクチャーや処理エンジンの設計は、Core iとRyzenで全く異なる。しかし処理前のデータに対するアクセス方法や処理結果はCore iと同じなので、Windows 10やアプリは両者を同じものとして扱えるようになっている。つまりRyzen搭載パソコンだからといって、不安に感じる要素はないわけだ。

同じグレードと価格帯なら性能は一段上のRyzen

 とは言え「Core iとRyzenは全く同じ」というわけでもない。

 AMDはRyzenを、インテルのCore iに直接対抗する製品として位置付けている。上述の通りRyzenは性能によってグレード分けが行われているが、これはCore iと相対している。シンプルに捉えるならRyzen 「7」ならCore i「7」、Ryzen 「5」ならCore i「5」と同じグレードと考えてよい。

 そしてAMDは、「同じグレードと実売価格なら、Core iよりも性能が高い」というところを目指してRyzenを設計し、価格を設定している。下の表はRyzenとCore iの代表的なモデルのスペックを比較したものだが、おおむねこの原則に従っていると分かる。

Ryzen 9 3950XRyzen 9 3900XCore i9-9900KSCore i9-9900KRyzen 7 3800XCore i7-9700K
実勢価格9万5000円前後6万円前後7万2000円前後6万円前後4万7000円前後4万6000円前後
コア数16128888
対応スレッド数32241616168
動作クロック3.5GHz3.8GHz4GHz3.6GHz3.9GHz3.6GHz
最大クロック4.7GHz4.6GHz5GHz5GHz4.5GHz4.9GHz
Core iとRyzenの上位モデルのスペックを比較した。同じグレードのCPUであれば、おおむねCore iよりもRyzenのほうがコア数やスレッド数が多い

 インテルやAMDの現行CPUは複数の演算基(コア)を搭載し、さらに1つのコアが複数の処理を同時に行う「同時マルチスレッディング」(Simultaneous Multithreading)機能をサポートするモデルが主流である。スペック上は「8コア16スレッド対応」などと表記するが、最終的な「スレッド対応数」の数が多ければ多いほど性能は高くなる傾向がある。

 ここに注目して見ると、AMDの一般ユーザー向けCPU最上位の「Ryzen 9 3950X」は16コア32スレッドに対応しているのに対し、インテルの一般ユーザー向け最上位モデル「Core i9-9900KS」は8コア16スレッドにとどまる。

 実際にパソコンとして組み上げてCPU単体の処理性能だけを比べても、Ryzen 9 3950XはCore i9-9900KSに対してかなり大きなアドバンテージがある。

Ryzen 9シリーズのパッケージ。大型で冷却性能の高いCPUクーラーを同こんしている
Ryzen 9シリーズのパッケージ。大型で冷却性能の高いCPUクーラーを同こんしている
(出所:米AMD)
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 こうした性能差は、多かれ少なかれどの価格帯でも存在する。そしてCPUは、パソコン全体から見れば頭脳のような役割を担っており、処理性を決める重要な要素となる。

 つまり「同じような価格帯のパソコンなら、Ryzen搭載パソコンのほうがCore i搭載パソコンよりも性能が高い」となりやすいわけだ。