「ノートパソコンの内蔵バッテリーは、付属する専用のACアダプターを使わないと充電できない」と思っていないだろうか。事実、現行のノートパソコンには必ず専用のACアダプターが付属しており、多くのユーザーはそれを使って充電しているはずだ。
しかし「USB PD」という規格に対応したノートパソコンが増えていけば、そうした常識も過去のものになる可能性がある。そこで今回は、今どきのパソコンを理解する上で重要なキーワードとして、USB PDについて解説する。
ノートパソコンの充電にも対応する大出力の給電機能
USB PDは「USB Power Delivery」の略で、USBポートを経由した給電機能を指す。
もともとUSB規格には、「USBバスパワー(USB bus power)」と呼ぶ給電機能が盛り込まれていた。ただしUSB 2.0なら電流500mA/5V(2.5W)、USB 3.0でも電流900mA/5V(4.5W)までという制限があり、キーボードやマウス、USBメモリーなど消費電力が低い周辺機器を動作させるためのものだった。
これに対してUSB PDは5/9/15/20Vという4種類の電圧に対応したほか、合計で100Wという大きな電力を供給できる。ACアダプターによる給電がないと動作できなかったタイプの周辺機器も、USBケーブル1本で使える。
そして最大100Wという大きな電力を扱えるようになったため、USBでノートパソコンのバッテリーを充電可能になった。
出張や旅行に、ノートパソコンやスマートフォンなど複数のデバイスを持って行くユーザーは多いだろう。こうしたケースで、以前ならばスマートフォンやタブレット用のUSB充電器のほか、ノートパソコン用のACアダプターを持ち歩かなければならなかった。
しかしノートパソコンがUSB PDに対応していれば、USB PD対応の充電器1台でスマートフォンとノートパソコンの両方を充電できる。旅行や出張時の荷物を減らせるわけだ。