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 この10年、世界の観光需要はずっと成長を続けてきました。一時的に新型コロナの影響があったとしても、この流れそのものは止まりません。問題は、世界各国が観光需要を奪い合っていること。大きな需要減に直面している時期さえもうまく活用できる国が、コロナ後の競争をけん引するはずです。

 有事には平時の仕組みが通用しません。正しいかどうかを検討するよりも、速く変化することが重要です。当社には106年の歴史がありますが、それぞれの時代で危機対応をしてきたから今がある。106年前と今では経営理論は全く異なりますが、いつの時代も変わらないのは素早い変化を決断するには、経営のリーダーシップが問われるという点でしょう。

 「3密回避」の施策にしても、もし反応が悪ければ理由を探って対処すればいい。仮説を立てて提案しないことには、改善すべき点も分かりませんから。

 観光経営者としてのキャリアで直面した一番難しい問題は、福島での観光事業です。2003年から再生事業を手掛けてきましたが、東日本大震災に伴う原発事故が起きてしまった。インバウンドに関しては今でも風評被害がなくなっていません。廃炉まで70年かかる可能性もあるとみていて、ゴール設定もできない。

 それでも海外の投資家と同じように、「風評被害があるから手じまいにしよう」とはいきません。当社の社員も現地で生活していますし、簡単に切って良い関係ではない。

 新型コロナが及ぼすマイナスの影響は、規模で言えば福島の問題よりも大きい。ただ期間としてははるかに短いと考えています。(談)