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コロナで炎上、それ本当?~計算社会科学でSNSデマを解き明かす! 6/3 18時

 各界のキーパーソンに新型コロナウイルスの影響や、新しい社会へのヒントを聞く「私たちの『アフターコロナ』」。米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を2019年9月まで務めた伊藤穰一氏が単独インタビューに応じた。

 ベンチャーキャピタリストの顔も持ち、テクノロジーの進化を見続けてきた伊藤氏が今、“革新源”として注目しているのはバイオの領域だという。「若手の中からものすごく飛び抜ける人材が出てきそうだ」と期待を寄せる。(聞き手は久米 秀尚=日経クロステック、インタビューは4月24日にオンラインで実施した)

伊藤穰一(いとう・じょういち)氏
伊藤穰一(いとう・じょういち)氏
デジタルガレージ共同創業者で取締役。慶應義塾大学SFC研究所首席所員。PSINet Japan、デジタルガレージなど多数のインターネット企業の創業に携わる他、エンジェル投資家としても、Twitter、Wikia、Kickstarterなどをはじめ様々なネットベンチャー企業の事業展開を支援している。2011年9月に日本人で初めて米MITメディアラボの所長に就任。同職を2019年9月まで務めた。(画像:オンライン取材時の画面をキャプチャー)
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新型コロナウイルス感染症のまん延は、社会をどのように変化させているのでしょうか。

 不確実性がすごく高まっているのを強く感じています。単純にウイルスについての理解だけでも、「ワクチンがすぐに開発される」や「新型コロナウイルスは夏に弱い」といった楽観的な考え方から、「免疫ができずに流行が長く続く」というケースまで、様々な未来予想があります。

 本当にどうなるか分からない不確実性がたくさんある中で、我々は考え続けなければいけません。「予測できる」と言うやつは嘘つきで、あり得ないのです。新型コロナはまだ、科学的に解明できていないのですから。

 今、一番やるべきことは、あらゆるシナリオを予想して、あらゆるシナリオの準備をすること。もちろんマクロで、シナリオプランナーとしていろいろアイデアを出すのは意味があると思うけれど、「絶対にこうなる」と言うのは、あまり意味がないと思うのです。

不確実な中で判断する力が必要に

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)に「Probabilistic Programming」(確率的プログラミング)というプロジェクトがあります。私も関わってきたのですが、データが薄くまばらな中で、偶然性を使っていろいろなシナリオを出し、データが不確実な状況でどう判断するかを導き出すプログラミング言語を開発しました。

 新型コロナがまん延する状況下でも、不確実なデータの中で、どうやって考えていくかが重要です。同時に、できるだけ正確なデータを集め、モデルを検証していく必要もある。両輪で取り組んでいくべきでしょう。

他にはどのような変化を感じていますか。

 私が住む米国で既に起こり始めている変化の1つは、貧富の差です。日本では感じにくいかもしれませんが、米国や欧州、アフリカなどではもともと、ものすごい貧富の差があるのです。既にデータは出始めていますが、今回の新型コロナの結果、さらに貧富の差は激しく出るはずです。

 端的に言えば、多くのホームレスの人たちを含む貧困層が新型コロナに感染する一方で、大金持ちは比較的、安全でしょう。この情報はどんどん明らかになってきて、今までよりもプレッシャーは激しくなると思うので、どこかにいろいろな影響が出てくる。それが世界経済や政治の変化として表れてくるでしょう。