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仕事と教育における常識を見直す

 仕事や教育の分野においても、新型コロナウイルスはそれまで誰もが当たり前と思ってきたことを見直すきっかけを与えてくれました。これまで「仕事」とは「会社に行くこと」であり、「教育」とは「学校に行くこと」だと多くの人が信じてきました。しかし、今回の外出自粛の要請によって、オフィスワークを中心に会社に行かなくてもかなりの部分の仕事はでき、学校に行かなくても多くのことを学べることが分かりました。しかも、通勤しないことによって膨大な時間を手にすることができ、人間関係に気を使うことも大幅に減少したのです。また、自分のペースで学べることで、より理解が深まることも分かりました。

 特に新型コロナウイルスは、これまで国際経済学の基本とされてきたグローバル化による効率性の追求が、いかに脆弱性をはらむものになるかを教えてくれました。経営戦略上「世界中から最も安い資材を調達することが競争力確保の基本である」と信じた結果、必然的に中国への依存度が高まりました。しかし今回、中国からの輸入が滞ることであらゆるモノの流れに影響が生じました。意外なところでは、消毒用アルコール。実は、アルコールそのものが足りないのではなく、法律で認められた消毒液用のボトルのほとんどが中国製だったため、結果的に消毒用アルコールが不足するという事態が生じたのです。

 アフターコロナを考える上では、サプライチェーンの強靱(きょうじん)化を視野に入れた戦略の練り直しが必要です。これまで平時を前提として効率性を追求してきましたが、今後は一定のリダンダンシー(冗長性)と効率性を両立させる経済システムの構築が求められます。