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患者と医師が「アフターコロナもこのままの医療体制でいいかもしれない」と思ったとき、何が起きますか。

 例えば対面診療が「ベストの医療」だとすると、オンラインや電話を利用した診療は「セカンドベストの医療」といえると思います。新型コロナで通常の医療を提供するのに制約がかかってしまい、セカンドベストの方法が選択されたわけです。これまではそれぞれの常識に縛られていましたが、実は別のやり方でも場合によってはうまくいくことに医師と患者が気づくでしょう。

 これまでの医療は、社会的な習慣や医療機関が得る経済的インセンティブに基づいて、医師や患者の行動が定型化していた部分がありました。その結果、過剰な診療や医療経済学的には費用対効果が成り立っていない診療が存在するのが現状です。

 もちろんこれまでの常識を変えることに抵抗する人たちはいると思いますが、医療を見直す議論が始まるのは時間の問題ではないでしょうか。この議論ができれば日本の医療は、今までより質が高まったり、医療従事者の過重労働などを防いで持続可能な運用ができたりする仕組みになっていくと思います。

密集して生活することのリスクが医療に影響を与えるでしょうか。

 今後は社会そのものが、ディセントラライゼーション(脱都市化)に向かっていく可能性があります。密集して生きることがリスクと考える人々が、地方に分散して住む動きが加速するかもしれません。ただし、地方は医療が充実していないのが現状です。

 今後、医療機関や医療・介護従事者も地域に分散していけば問題ないですが、体制が整うまでには時間がかかるでしょう。脱都市化が起きる中で、次の医療体制をどう考えるかというのは、避けて通れないテーマになると思っています。

 次の医療体制を考える上で重要なのはICT(情報通信技術)の活用でしょう。診療や介護、服薬指導などを遠隔で実施するのです。ICTの利用が広がらないと、地域における医療と介護の不足を補えないと思います。

ICTの活用とは例えばオンライン診療のようなシステムでしょうか。

 そうですね。今回をきっかけに、オンライン診療の価値が見直されそうです。私が運営する祐ホームクリニックでは在宅医療を手掛けており、そこでオンライン診療を活用してきました。オンライン診療をうまく活用できれば、外来医療と在宅医療を融合させて質の高い医療を提供できると考えています。

 在宅医療には移動の時間がかかります。これまで地域の医療機関の中には、在宅医療をしたいと思ってもなかなか忙しくて実施できないところがありました。地域医療を考えると医師にとっても患者にとっても有用ではないかと感じます。