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 各界のキーパーソンに新型コロナウイルスの影響や、新しい社会へのヒントを聞く「私たちの『アフターコロナ』」。モビリティー戦略の専門家であるインテル事業企画・政策推進ダイレクターの野辺継男氏は、電気自動車(EV)の需要が高まり、1社でシェア6〜8割を占める「一強時代」を予測する。(聞き手は久米 秀尚=日経クロステック/日経Automotive、インタビューは4月20日に実施した)

野辺継男(のべ・つぐお)氏
野辺継男(のべ・つぐお)氏
1983年NEC入社。国内外でIBM互換のパソコン事業及び関連事業立ち上げ。2000年末退職後、国内最大級のオンラインゲーム会社を含む複数ベンチャーを立ち上げCEO歴任。04年4月日産自動車入社。ビークル・インフォメーション・テクノロジー事業に従事。12年3月退職。12年4月インテル入社。クルマのICT化から自動運転全般のアーキテクチャー構築に従事。14年5月名古屋大学客員准教授兼務。現在に至る(撮影:日経Automotive)
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自動車業界が「100年に一度の大変革期」で変化を求められているなかで、新型コロナウイルスがまん延しました。

 モビリティーの領域では、地球温暖化に対してより真剣に取り組んでいく機会と位置づけるべきでしょう。端的に言えば、電気自動車(EV)へのシフトです。

 「京都議定書」が採択された1997年ごろには既に、気温が1~2度上昇すると感染症のまん延リスクが高まるという予測が出ていました。まさにそうなっている今、走行中に二酸化炭素(CO2)をはじめとする温暖化ガスを排出しないEVに本気で取り組んでいかなければなりません。

 今回の新型コロナが収束しても、温暖化が続けば別のコロナウイルスが誕生し、必然的に感染症はまたまん延する。つまり、感染症と共存するというのが認識として必要になってきていると思うんですね。

 日本では温暖化と感染症を一緒に議論しているのはあまり聞いたことがないですが、海外では明確にあります。温暖化ガスの発生を食い止める必要があるだろうという認識が、かなり現実的になってきたと思います。

 それを信じないという人もいたし、信じるという人もいたけれど、新型コロナを経験し、おおむね信じざるを得ないという状況になりつつあります。実際、海外では購買行動の変化として出始めました。CO2の排出が少ないものを選ぶということです。

だから、走行中にCO2を出さないEVのニーズが高まるというわけですね。

 そうです。新型コロナを機に変化した消費者ニーズを捉えたのが米テスラ(Tesla)です。中国では、一旦は生産能力を平常時並みに戻して販売台数を伸ばしました。他社がEVの量産再開に手間取る中で、主力の「モデル3」と最新の「モデルY」だけが売れるという構図になっていきそうです。