全4920文字
PR

グローバリゼーションは止まらない

 ペストやスペイン風邪などのパンデミック(世界的大流行)は、長期的に見ればグローバリゼーションを加速させていると言えるでしょう。ペストはアメリカ大陸に感染が広がりましたが、それでグローバリゼーションをやめようなんて話は出なかった。トウモロコシなどの穀物の貿易がその後の世界を豊かにしました。スペイン風邪は第1次世界大戦の終息につながり、その後、国際連盟を生んだ。

 新型コロナでもグローバリゼーションは止まらない。今回のキーワードは、「協調」だと思っています。

 今の経済状況を客観的に見てみましょう。原油価格が史上初のマイナスになり、世界の国内総生産(GDP)成長率が大幅なマイナスになるという予測もある。リーマン・ショックの比ではない事態になっています。

 でも、日経平均株価は1万8000〜1万9000円台で推移しています。おかしいと思いませんか。これは、世界の政府と中央銀行が緊密に連携して動いているからです。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が実質ゼロ金利を打ち出し、日本銀行も欧州中央銀行もすぐに動いた。20カ国・地域(G20)は途上国からの債務の返済猶予を打ち出した。世界が必死になって連携しているんです。

 グローバリゼーションを見直そうなんて、とんでもないことです。世界が協調しなければ、危機は乗り越えられない。

出口さんは、アフターコロナの新常態がどのようなものになると想像していますか?

 今、至る所でリモートワークやオンライン教育が展開され始めています。どう考えても市民のITリテラシーは高まるでしょう。日本のがんは、1970年に統計を取り始めてからずっと主要7カ国(G7)で最下位である労働生産性なんですね。付き合い残業や飲みニケーション、長く働いた方が偉いという根拠なき精神論がずっとはびこっていた。

 政府も働き方改革に取り組んできましたが、それが一気に加速すると思いませんか。

 2月27日に政府が小中高の一斉休校を突然、要請し、企業は対応に追われました。APUは職員の6〜7割は女性です。休校は大変なインパクトでした。3月の大学は、卒業認定や入学認定など個人情報を取り扱う業務が非常に多く、すぐにリモートワークに切り替えることは難しかった。なのでAPUは、休校要請から2日間で大学構内に子どもの遊び場を確保し、子連れ出勤を可能にしました。

 すでに1カ月以上がたちましたが、全く困ることはありません。

 ということは、アフターコロナのニューノーマルの世界は、リモートワークもオンライン授業も子連れ出勤も自由にできるようになる。付き合い残業も根拠なき精神論も消え去り、労働生産性が上がる。

 短期的に見ればGDPがマイナス成長となり厳しい局面が続きますが、中長期的に見ればすごく明るい。そう考えています。

 ペストがルネサンスを生んだように、新型コロナは働き方改革を加速させ、労働生産性を上げる。それは生き方改革につながっていくと思います。