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デジタルの活用を見直せ

 ダイナミックケイパビリティーを身に付けるためには、事業ポートフォリオの多様化と、設計・開発スピードの短縮が求められます。「一本足打法」のように事業を絞っている企業は、不測の事態が起きると倒れてしまう。また、新しいものを開発しようとしても、開発スピードが遅ければ、時代遅れのものしか生み出せません。

 時代遅れのものを生み出さないためにも、デジタルツールの活用方法を見直す必要があります。これまでは、品質確保や安定稼働を目的に導入していましたが、これらのためだけにデジタルツールを使うのはもったいない。データサイエンスを活用すれば、不測の事態を素早くキャッチし、対応できるはずです。デジタル活用による多品種少量・変種変量生産というマスカスタマイゼーションもダイナミックケイパビリティーを高めるでしょう。

 また注目を集めている5Gは、製造業にとって非常に魅力的なデジタル技術になります。5Gが導入されることで工場は有線ではなく無線にできます。ロボットや設備機器が無線になることで工場はレイアウトフリーになり、いかようにも組み替えられます。何かの変化に応じて設備の配置を変化させて対応できるようになり、ダイナミックケイパビリティーの向上が期待できます。

 新型コロナを一時的なものと捉え、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」となってはいけません。これまで世界で起きていた変化が加速したと認識し、考えを改める必要があります。 (談)