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共感型マネジメントやリモートワークは、全ての企業が進めるべきでしょうか?

 それは重要なポイントで、そのバランスや組み合わせが大切だと考えています。図をご覧いただきたいのですが、私は「共感・腹落ち・エンゲージメントの浸透」の度合いと、「リモートワークの進展度」を2本の軸として、4つにグルーピングすると分かりやすいと思います。

(入山氏の資料を基に日経クロステックが作成)
(入山氏の資料を基に日経クロステックが作成)
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 まず、すでに社内に腹落ち・共感が十分にあって、リモートワークもどんどん進めている企業、という第1グループがあります。これは、IT系のスタートアップなどが多い。スタートアップはリーダーのビジョンに共感している社員が多く、そしてITビジネスは工場などの「現場」もありません。ですから、今回のコロナを機に一番変化しやすいわけです。例えば日本ではGMOインターネットグループがコロナ騒動が始まってすぐに在宅勤務にしたり、海外では米グーグルが年内の在宅を決めたり、米ツイッターが無期限でリモートワークを採用したりしています。

 他方で、そもそも「共感がなく、リモートワークも進めていない企業」があります。これを第4グループとすると、このグループには旧来型の日本企業の多くが当てはまります。そして第2グループは、「社内に共感はあるけど、リモートワークが進んでいない企業」です。こういった企業は、こらからの時代には、デジタルツールなどを使ってリモートワークを進める可能性があります。

 そして一番厄介なのは、第3グループです。すなわち「社内に共感がないのに、リモートワークを無理やり進めようとする企業」です。私は、アフターコロナの時代に、このような日本企業が出てくる可能性を危惧します。繰り返しですが、人々が離れて働くには、共感・腹落ちが前提です。それがないまま、「他社がやっているから」という理由で、リモートワークだけを無理やり進めると、混乱に陥る可能性が高いとみています。

では共感・腹落ちのためには何が必要でしょうか。

 結局は、トップが発信するメッセージが一番重要です。例えばスタートアップは基本的にすべて共感・腹落ちが強いわけですが、それは比較的小さな組織で、創業者のビジョンに共鳴した社員が入り、そして創業者がビジョンを社員に伝えきれているからです。これを大手・中堅企業でやるには、結局、トップが社員とリアルでもデジタルでもコミュニケーションをしっかり取って、繰り返しメッセージを伝えるということに尽きると思います。例えばコロナ前で言えば、ポール・ポールマン氏がCEOとして率いていたときのユニリーバはその典型だったと思います。先日、休業中のテナントからの賃料を無料にすると発表した丸井グループなどもその1社かもしれません。

他にも、管理型からの脱却で、様々な制度も変わりそうです。

 まず時給ベースという給与の仕組みは変わる可能性が高い。例えばリモートワークが進めば、作業プロセスは見えないので、成果ベースが基本になる。ただ、そうなると短期で成果を出せる既存事業部門と、長期でしか成果を出せない新規事業部門がフェアではなくなるので、「そもそもこの会社での成果とは何なのか」を考えながら、評価制度も見直す必要があります。単純にその期の成果だけで、エクセルで点数をつけて評価するのは難しくなります。これもコロナ前からイノベーションに必要と言われていた、ノーレーティングやOKR(Objectives and Key Results:企業全体から部署、社員の目標をつなげて管理する仕組み)をさらにうまく取り込む必要があるでしょうね。