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 加えて言えば、今回はコロナでソーシャルディスタンスだけが注目されていますが、都市にはそもそも安全などを担保するインフラ機能もあります。日本はウイルス以上に地震や台風の危険性があり、それはインフラが整備された都市の方が対応しやすいかもしれない。加えて、誰かが病気やけがをしても都市の方が対応しやすいですし、リアルな相互監視があると犯罪も起きにくい。実際、米ニューヨーク市などを引き合いに出して「都市の方が人の寿命が長い」という主張もあります。

 このように考えると、一方で開疎化という方向性があり得るとして、他方で集積する場所として都市の重要性は、少なからず残るはずなんですね。ただ、今ほどの無駄な集積は必要ないのかもしれない。そのバランスが、個人的には興味深いですね。

 都市の重要性は、企業によっても異なるはずです。例えば、先ほどの図で示したように、共感・腹落ちがあるのでリモートワークが進んでいる「第1グループ」の企業では、オフィスというものが固定化された箱としてこれからも必要なのかについては、当然、疑問が出てくるでしょう。そういう企業が多く出てくるなら、例えば月に数回、顔を合わせるだけであれば、不動産を月決めや年決めで借りる必要はなくなって、貸し会議室などのスペースを時間借りすればいいのは当然です。でもそれが第3グループや第4グループの企業でどこまで進むかは、微妙なところでしょう。

 このように、都市の在り方は、今後は多様な変化が考えられます。日本のようにウイルスに加えて、地震・台風などの不測のリスクが多く、また第1から第4グループまで多様なタイプの企業がいる国では、より変化に柔軟に対応できる「アジャイルな都市」という方向に進むのではないかと予想しています。