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 新型コロナウイルス対策として今春、多くの企業が社員を在宅勤務に切り替えた。2020年3月から在宅勤務を拡大したキユーピーは、社内システムにアクセスするVPN(仮想私設網)の同時接続数が十分に確保できるようになるまで、限られた接続数を有効活用する様々な工夫を凝らした。

 キユーピーは新型コロナウイルス対策としての在宅勤務を、2020年3月2日からスタートさせた。2020年4月7日、政府が緊急事態宣言を発令すると、対象地域を中心に出勤する社員の数を大幅に減らす策を講じてきた。

在宅勤務をしているキユーピーの社員の様子
在宅勤務をしているキユーピーの社員の様子
(出所:キユーピー)
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 在宅勤務制度についてはそれまであった「週2日まで」「契約社員は対象外」といった制約を外して、誰でも在宅勤務ができるようにした。一方で、社員が拠点間を行き来して交流するのを制限する措置を講じた。

 在宅勤務の拡大策としてITの整備も進めてきた。2020年3月から順次、社外から社内ネットワークにアクセスする同時接続数を増やして、多くの社員が在宅勤務に取り組めるようにしてきた。

同時接続数が増えるまで、在宅勤務はシフト制に

 キユーピーは、社員が社外から社内ネットワークへVPN(仮想私設網)を使って接続できるようにしているが、インターネット経由でアクセスする方法と、会社専用のモバイルルーターを使ってアクセスする方法の2種類を用意している。自宅にインターネットへの接続環境がある社員はインターネット経由でアクセスするようにして、自宅にインターネット環境がない社員や外出が多い営業担当者はモバイルルーターを使ってアクセスするようにしている。

 同時接続数はこの2つの方法ともに増やした。2020年3月上旬に、まずインターネット経由のVPNを増強。3月中旬にはモバイルルーター経由のVPNを、4月中旬にはインターネット経由のVPNを追加で、それぞれ増強していった。増やした同時接続数は1800に上るとみられる。社外とのオンライン会議が増えることを想定して、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)のWeb会議サービス「Zoomミーティング」を使って、より多くの社員がWeb会議を同時に開けるようにもしたという。

 同時接続数を十分に確保できるようになるまでは、限られた同時接続数を有効活用する工夫を凝らした。具体的には「朝や夕方などのシフトで在宅勤務をする」「業務を始める時に、必要な資料をダウンロードして、それ以降はVPNを切断する」「メールなどはVPNを使わずに、スマートフォンで確認する」といったことを社員に依頼したという。

社内問い合わせに応対しつつ社内マニュアルを見直す

 インターネット経由のVPN接続をした社員からも当初、接続の仕方についての問い合わせが、情報システム部門などに多く寄せられたという。在宅勤務のためにインターネット経由で接続する社員がそれまで多くなかったようだ。キユーピーとしてもテレワークの本格実施を、東京オリンピックやパラリンピックの時期と見据えていたこともあり、社員教育の実施やマニュアルの整備の本格化はこれからという状況だった。

 社員からの問い合わせはそれぞれについて応対し、直面する課題を解決していった。併せてVPNの接続マニュアルの見直しを進めた。マニュアルは既に社内にはあったものの、利用者目線で見返すと「どのような順番で設定していけばよいか」「注意事項はどういったことなのか」などが、分かりやすいとは言えなかったという。

 そこで「インストール編」「事前設定編」「接続編」とマニュアルを段階的に分けたうえで、各マニュアルの内容を、細かく見直していった。注意事項も必要なものについては、色づけするなど強調表示させるようにしたという。