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新型コロナウイルス対策として2020年春、多くの企業が社員を在宅勤務に切り替えた。リクルートは2020年2月から2万人ほどいる社員を対象にテレワークを実施してきた。同社は以前より働き方改革の一環として在宅勤務の試行錯誤を重ねてきた。コロナ禍で、さらに活用事例が広がった。ビジネスチャットを使って経営レベルの意思決定を早めたり、オンライン会議で経営層と社員が直接つながる座談会を開いたりしている。

 新しい価値を創造していくには、多様な社員それぞれの経験を融合していくことが欠かせない。社員の経験をより一層豊富なものにするためにも、社員個人が自律的に柔軟な働き方を実践することが重要だ――。こうしたスタンスで2015年から働き方改革を進めてきたのがリクルートだ。リクルートは、国内外の販促メディア事業、国内の人材関連事業などを含む「メディア&ソリューション事業」を統括している。

東京・丸の内にあるリクルート本社のビルエントランス
東京・丸の内にあるリクルート本社のビルエントランス
(撮影:日経クロステック)
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 テレワークは働き方改革の一策として取り組んできた。社員が出産や育児といったプライベートの出来事や、取り組んでいる仕事の状況に応じて柔軟な働き方ができることを目指して、2015年に試行。2016年1月から本格的に始めた。

 同社のテレワーク体制の特徴は「働く場所は自宅やコワーキングスペース、カフェなど自由に選べる」「テレワークを行う上限の日数は設けない」「社員の評価はこれまで通り成果を基に行う」などだ。同社ではリモートワークと呼んできた。

生まれた時間的な余裕で付加価値を向上

 リクルートは「業務を可視化して見直すなどして時間的な余裕をつくる」「生まれた時間的な余裕を付加価値の向上につなげる」という2つのステップで働き方改革を進めてきた。前者のステップでは、可視化した業務について「やめる」「手作業だったものをITなどに置き換える」「複数の部署で行っている仕事を集約する」といった策を講じて見直している。

 リクルートはリモートワークを通勤などの移動時間を省き、時間的余裕を生む手段として普及を進めてきた。同社で人事・総務を担当している野口孝広執行役員は「試行錯誤を繰り返しながら必要な環境を整えてきた」と話す。例えば「情報セキュリティーを確保したうえで社内イントラネットにアクセスする仕組みが必要」といったことが在宅勤務の試行で分かり、仮想デスクトップを導入するなど、環境整備を進めてきた。

 「生まれた時間的な余裕を付加価値の向上につなげる」というステップでも策を講じている。具体的には、社員が自律的に仕事を進めていけるようなスキルを十分に身に付ける研修などを実施している。

 重視してきたのは、販促メディア事業の営業、編集といった担当業務の内容に合わせた研修だという。例えば、営業担当者に向けては、顧客から販促に関するニーズを発掘できるようにロールプレイング研修を実施するなどしてきた。 「時間的な余裕が生まれたとき、その余裕でどんな価値向上をしていくのかを考えて取り組んでいけることが重要だ」と野口執行役員は説明する。