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 オンラインで説明会や研修をすることになった――。多くの話し手は、「離れた場所にいる人たちにきちんと話を聞いてもらえるか」と不安に感じます。

 目の前に参加者がいれば、反応を見ながら話の内容やスピードを調整したり、問いかけをして発言を引き出したりできます。しかしオンラインでは、なかなか同じようにはいきません。

 最後まで参加者に飽きずにきちんと話を聞いてもらい、積極的に発言をしてもらうにはどうしたらよいか。企業向けオンライン研修を複数手掛けている筆者が重要だと考えているのは、「心理的安全性」です。

 心理的安全性とは、その場で安全にいられると感じる心理状態です。失敗しても攻撃されたり恥ずかしい思いをしたりしないと感じられれば、発言や質問をしやすくなります。集合型の説明会や研修でも心理的安全性は重要ですが、全員が同じ場所にいる分、そうした雰囲気はつくりやすいものです。

 オンラインの場合は参加者の状態をカメラを通してしか把握できませんし、参加者同士もお互いの様子がよく分かりません。心理的安全性を確保するために、筆者は普段とは異なる工夫をしています。ここでは、すぐに実践できる4種類を紹介しましょう。

視線の動きや手元の動作まで説明する

 まずは、講師である筆者の環境を詳しく伝えることです。どんな機材を使っているのか、手元に何を置いているのかまで説明します。こうすることで、筆者のしぐさに不信感を抱かれないようにします。

 最初に説明するのは、視線の動きです。筆者は研修中、機材の関係で3カ所に視線をやります。

 筆者が使っているのは、ビデオカメラとPC、プロジェクターです。ビデオカメラで筆者の姿を撮影し、オンライン会議システムをPCで操作します。PCはマルチディスプレーにして、参加者全員の顔はプロジェクターで壁に投映しています。

 つまり、①カメラ(受講者に向かってアイコンタクト)、②カメラ下(PCの操作)、③カメラ右上(プロジェクターで投影した参加者全員の顔を見る)の3カ所に視線が行き来します。参加者がこれを知らなければ、講師がカメラの下を見たり、右上を見たりしていると、「何を見ているんだろう」「誰かいるのだろうか」などと不信感を抱かれてしまいます。

 ですから、最初に「研修中、私は3カ所を見ます。理由は、こういう環境で講義をしているからです」ときちんと説明するようにしています。研修の開始時には、カメラを1回転させて自分がいる部屋の様子を見せています。

 手元の動きについても説明します。例えば「手元に名簿とメモ用紙を置いていて、全員に指名するために名簿にチェックを付けています。誰かの発言にコメントしたい場合はメモ用紙に書きます」のように伝えます。

 集合研修でも、話し手の手の動きを受講者は気にしているものです。講師が誰かが話しているときにペンを走らせただけで「評価されているのではないか」「後で人事部に報告するのか」などと不安に思ってしまう人がいます。

 オンライン講座の場合は、なおさら不安を抱きがちです。ですから、「ペンで何を書いているか」を伝えて安心してもらいます。