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 アグリテックによる作物の栽培では、人工衛星やIoT(インターネット・オブ・シングズ)、人工知能(AI)、ドローンなどの技術が効果を発揮する。アグリテックのベンチャー、プラントライフシステムズ(PLS)はIoTでトマトの収穫量を5割増やした。IIJはIoTによって農家が水田を見回る日々の作業を3割以上減らしている。

トマトの関数モデルで収穫量5割増
プラントライフシステムズ(PLS)

 「トマトの糖度やリコピンの値を下げずに収穫量を5割以上増やせる」。アグリテックベンチャーのプラントライフシステムズ(PLS)の松岡孝幸社長はこう自信を見せる。

 PLSは野菜の状態を推定し農作業を助言する農業支援システム「KIBUN」を開発。2017年からトマト栽培に特化した製品を販売している。

 トマト生産では、糖度などの品質と収穫量はトレードオフの関係にあると言われる。糖度を上げるには与える水分を減らす方法が代表的だが、そうすると実が小ぶりになる傾向がある。

 KIBUNを使えばこの問題を解消できるという。秘密はPLSが開発したトマトの成長を表す「関数モデル」と、トマトが根を張る特殊な培地にある。

図 プラントライフシステムズが開発した、トマト農家向けIoTシステムの概要
図 プラントライフシステムズが開発した、トマト農家向けIoTシステムの概要
トマトの状態を基に必要な農作業を提示(写真提供:プラントライフシステムズ)
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 関数モデルは「トマトの成長自体を数式化したもの」(松岡社長)だ。入力はハウス内の温度や湿度、培地の水分量、液体肥料の濃度などのIoTデータである。これらを基に関数モデルでトマトの状態を推定。トマトの収穫量や糖度が最大となるように、水やりの時間帯や量などを提示する仕組みだ。

 培地には土ではなく砕いたサンゴを使う。サンゴは強いアルカリ性だ。松岡社長は「一般に強いアルカリ性の培地は作物の栽培に向かない。しかし適切に水を管理すれば作物を強く育てられる」と話す。PLSは関数モデルによってトマトのその時々の状態に応じた水管理を実現し、サンゴの培地でトマトを育てられるようにした。今後は同じ手法をメロンやイチゴなど他の作物にも応用していく計画だ。