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 作物の収穫には日別の収穫量予測、刈り取り、検品・仕分けなどの作業がある。これらをロボット、IoT(インターネット・オブ・シングズ)、人工知能(AI)、ドローンの技術によって自動化する取り組みが進んでいる。シンフォニアテクノロジーは摘み取った大葉から出荷基準を満たすものをえり分けるロボットの開発を進めている。

 航空部品などを手掛けるシンフォニアテクノロジーは豊橋技術科学大学と共同で、大葉の摘み取り後から出荷までの作業を支援するロボットを開発した。大葉の農作業で最も手間と時間がかかる「検査」や複数の大葉をまとめる「結束」といった作業を自動化する。

 発売は2020年10月頃を予定する。シンフォニアテクノロジーの爪光男電機システム本部コントローラ開発営業室室長は「検査だけでなく結束までを自動化する国内初のロボットになる見込みだ」という。

 ロボットによる作業は次のようなものだ。まず農家が大葉を摘み取った後、専用のカセットに約400枚を収納してロボット本体の挿入口にセットする。さらに本体のタッチパネルで指示を出すと、ロボットの作業が始まる。

 ロボットは本体内部でカセットから大葉を1枚ずつ取り出し、AIカメラによって大葉の大きさや形、色などを検査。温室園芸農業協同組合が定めた形や色などの基準を満たすかという観点で良品かどうかを判定する。「しおれて形が崩れた葉」「色が悪い葉」「大きさが基準に満たない葉」などをはじく。

図 シンフォニアテクノロジーが豊橋技術科学大学と共同で開発した大葉収穫支援ロボットの工程
図 シンフォニアテクノロジーが豊橋技術科学大学と共同で開発した大葉収穫支援ロボットの工程
摘み取った大葉の検査、選別、結束を自動化(写真提供:シンフォニアテクノロジー)
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数万枚の大葉のデータを学習に使う

 「当初は単純なパターンマッチングを試したが、大葉の形や色といった要素が多様でうまくいかなかった」と爪室長は振り返る。AIに数万枚の大葉のデータを学習させることで、高精度な判定を可能にした。

 ロボットは良品と判定した大葉を6段階のサイズで仕分けする。ここまでの工程にかかる時間は大葉1枚当たり2~3秒だという。さらにロボットは10枚ごとに専用テープで結束し、取り出し口に運ぶ。

 シンフォニアテクノロジーが工場を構える愛知県は、日本一の大葉の産地だ。出荷量で国内シェアの5割以上を占める。「愛知県だけで1日1500万から2000万枚、農家1軒当たり平均5万枚以上の大葉を生産している」(爪室長)。これまでは各農家がパートタイマーなどを雇い大葉の選別や結束をしていたが、人手不足に悩まされていた。

 AI、IoT、ドローン、ロボット…先端のITは日本の農業を着実に変えつつある。ITエンジニアと農家の創意工夫が続く限り、農業は前進できるはずだ。