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鉄道分野の外から来たさまざまな技術が、鉄道を刷新する。IoT、VR(仮想現実感)、人工知能、QRコードといった、ITを中心とする技術を鉄道で生かすアイデアが続々と生まれ、従来の鉄道技術との融合によって高信頼性・安全性といったニーズを満たそうとしている。「鉄道技術展」や「鉄道総研技術フォーラム」での展示の他、鉄道関連技術を開発する企業の取り組みから最近の動向を見る。

タッチしやすくQRコードも使える自動改札機
[コード決済]

JR東日本は2020年2月から、「タッチしやすい自動改札機」の実証を進めている。新宿駅と高輪ゲートウェイ駅に実機を設置。交通系ICカードの読み取り面の位置を「タッチしやすく」した他、QRコードの読み取り機能を備え、スマホなどによるコード決済が使える。一般的な自動改札機では、改札の入口側から見て手前に傾斜した面にICカードの読み取り部を取り付けている。しかし、今回の実験機では、同読み取り部を改札通路の内側に向かって傾斜した面に設けた。同社は「車いすを利用する乗客にもタッチしやすいデザインにした」と説明する。一方、QRコードの読み取り部は、改札の入口側から見て、ICカードの読み取り部よりも手前に取り付けた。両者を離して設置することで、乗客がそれぞれを判別しやすくなり、改札をスムーズに通過できるという。QRコードを用いた自動改札機については、阪神電気鉄道(大阪市)や大阪市高速電気軌道(同)も実証実験を進めている。

(画像:JR東日本)
(画像:JR東日本)
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踏切全体をスキャンして事故を防ぐ
[3D計測]

踏切事故は、鉄道事故の約3割を占めるといわれる。事故が起きるたびにその安全性が取りざたされてきた。一方、多くの踏切には線路を遮る障害物を自動で検知する「踏切障害物検知装置(障検)」が備わっている。光源からの光を常に光電センサーに当てておき、遮られたら障害物があるとして検知するものだ。しかし、この手法には、障害物が光を遮らないと検知できないという弱点があった。そこで、鉄道総合技術研究所は、遠赤外線カメラと無線通信を用いたシステムの開発を進めている。具体的には、同カメラを踏切道の斜め上方に設置しておき、踏切全体を空間的に監視。障害物の進入や遮断かんの降下不良などを捉えると、無線通信で走行中の車両に知らせ、非常ブレーキを作動させる仕組みだ。踏切と車両の両方に無線アンテナを設置する必要があるが、免許の要らない2.45GHzの汎用無線を使う。

(「鉄道総研技術フォーラム2017」から、写真:日経ものづくり)
(「鉄道総研技術フォーラム2017」から、写真:日経ものづくり)
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