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アフラック生命保険は顧客、代理店の営業担当者、社内の業務担当者に向けてより良いサービスを提供するためにデジタルイノベーションを進めている。その一環で、アプリやシステムを音声で操作できる音声認識・応答システムを開発した。社内ITヘルプデスクやITプロジェクトの進捗管理などの業務に適用している。

アフラック生命保険が進めている主なデジタル関連施策。今回は「AIスピーカー」を取り上げる
施策概要
AIスピーカーアプリやシステムを音声で操作できるようにする音声認識・応答システム。社内ヘルプデスクなどで活用を進めている
社内研修のデジタル化離れた拠点の見学にVRを活用したり、分身ロボットを使って集合研修にリモートで参加できるようにしたりしている
あひるーぺ複数の情報系システムで管理する10万件の業務マニュアルなどの情報を一元的に検索できるAIシステム。「AI検索付き電子マニュアル」とも呼んでいる
Aflac Agile Base本社に設置したアジャイル型の働き方でデジタル関連プロジェクトを進められるようにしたスペース
ビジュアルIVR電話問い合わせの音声ガイダンスの選択肢を顧客が持つスマホの画面に表示する仕組み。オペレーターが顧客に保険の説明をする際、資料を共有する機能なども組み込む
3Dアバター付き音声チャットボット顧客応対向けの音声チャットボット。画面に、3次元で立体的に見えるアバターが表示される
応対マニュアル自動表示AIコンタクトセンターのオペレーターに向けたAIシステム。顧客との会話の内容を踏まえて適切な応対マニュアルを自動的に示す
営業サポートAI営業担当者に向けたAIシステム。顧客との会話の内容を踏まえて、説明すべき内容などのアドバイスを自動的に示す
契約変更業務のデジタル化紙文書を多く扱っていた保険契約の変更業務を、AIを組み込んだOCR、RPA、デジタルワークフローを組み合わせてデジタル化する

 システムはパソコンで操作するのが一般的だが、業務効率やシステムの利便性を高めるため、音声でも操作できるようにしよう──。アフラック生命保険はこうした狙いから音声認識・応答システムを開発した。音声を認識する機能だけでなく、音声で返事をする機能も加えたことから同社ではこのシステムを「AIスピーカー」と呼んでいる。AI(人工知能)を使った日本語の音声認識技術を持っていたパクテラ・テクノロジー・ジャパンと共同で、返事をするための音声合成技術などを組み合わせながら開発した。

 アフラック生命保険の鍵谷圭二郎デリバリーコーディネーション部ビジネスリレーション課課長は「専用のハードウエアを社内に広く導入するのは大変なので、社員にとって身近なデバイスであるパソコンやiPhoneなどから利用できるようにした。iPhoneやiPadは手入力が面倒な場合もある。そうした場面では音声で入力できるような選択肢にもなり得る」と説明する。

 音声認識・応答システムは2019年10月から稼働させて適用範囲を広げている。適用先の1つがIT関連の社内ヘルプデスクの応答サービスだ。この応答サービスは専用アプリを立ち上げた後、例えば「新しい端末がほしい」と社員が話しかけると、音声認識・応答システムが「新しいPCがほしい、について回答します。申請についての説明コンテンツをご確認ください」などと自動回答する。

AIスピーカーを適用した社内ヘルプデスクの画面。質問はテキストデータを入力する代わりに、話しかけてすることもできる
AIスピーカーを適用した社内ヘルプデスクの画面。質問はテキストデータを入力する代わりに、話しかけてすることもできる
(出所:アフラック生命保険)
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 音声で自動的に回答する際、申請に関する社内システムのリンクといった情報も専用アプリ上に示す。「今後は、申請に必要な項目を尋ねる質問をAIスピーカーが出して社員が答えていくことで、申請手続きを進められるようにもしていく」と齋藤快デリバリーコーディネーション部ビジネスリレーション課課長代理は話す。

 社内ヘルプデスクの応答に音声認識・応答システムを適用したのは次のような課題があったからだ。1つは受付時間の問題だ。担当者による社内ヘルプデスクの受付時間は朝から夕方までの間に限られている。一方、勤務体系が多様になり受付時間よりも早く出社する社員が出てきている。こうした社員は受付時間になるまで社内ヘルプデスクを利用できなかった。もう1つは混雑だ。日中社内ヘルプデスクに電話しても混み合ってつながらないことがあったという。

 アフラックではこうした社員や顧客、代理店の営業担当者が直面している課題を「ペインポイント」と呼んでいる。困りごとといった意味を持つ。