アフラック生命保険は顧客や代理店の営業担当者、社内ユーザーにより良いサービスを提供するためにデジタルイノベーションを進めている。変化が激しい時代でも付加価値を社内外に提供できるよう、短期的に開発を繰り返していくアジャイル開発手法を取り入れた働き方改革を進めている。
施策 | 概要 |
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AIスピーカー | アプリやシステムを音声で操作できるようにする音声認識・応答システム。社内ヘルプデスクなどで活用を進めている |
社内研修のデジタル化 | 離れた拠点の見学にVRを活用したり、分身ロボットを使って集合研修にリモートで参加できるようにしたりしている |
あひるーぺ | 複数の情報系システムで管理する10万件の業務マニュアルなどの情報を一元的に検索できるAIシステム。「AI検索付き電子マニュアル」とも呼んでいる |
Aflac Agile Base | 本社に設置したアジャイル型の働き方でデジタル関連プロジェクトを進められるようにしたスペース |
ビジュアルIVR | 電話問い合わせの音声ガイダンスの選択肢を顧客が持つスマホの画面に表示する仕組み。オペレーターが顧客に保険の説明をする際、資料を共有する機能なども組み込む |
3Dアバター付き音声チャットボット | 顧客応対向けの音声チャットボット。画面に、3次元で立体的に見えるアバターが表示される |
応対マニュアル自動表示AI | コンタクトセンターのオペレーターに向けたAIシステム。顧客との会話の内容を踏まえて適切な応対マニュアルを自動的に示す |
営業サポートAI | 営業担当者に向けたAIシステム。顧客との会話の内容を踏まえて、説明すべき内容などのアドバイスを自動的に示す |
契約変更業務のデジタル化 | 紙文書を多く扱っていた保険契約の変更業務を、AIを組み込んだOCR、RPA、デジタルワークフローを組み合わせてデジタル化する |
アフラック生命保険は2020年1月、QRコードを使ったクレジットカード支払いサービスを始めた。具体的にはアフラックから届いた払込用紙に印刷されたQRコードをスマートフォンで読み込み、クレジットカードを使って保険料を振り込めるようにした。
その3カ月前の2019年10月、アフラックはキャッシュレス決済サービス「LINE Pay」を使って顧客が保険料を振り込めるようにする新サービスを提供している。以前はアフラックから届いた紙の払込用紙を、顧客がコンビニエンスストアや銀行などへ持って行き、保険料を支払う必要があった。新サービスによって、顧客はアフラックから届いた書類に印刷されたバーコードをスマートフォン上のLINEで読み取り、自宅にいながら簡単な操作で、LINE Payを使って保険料が支払えるようになった。
大手保険会社が数カ月といった間隔で、新しい保険料の振り込みサービスを相次ぎ提供するのは珍しい。アフラックが新サービスを矢継ぎ早に打ち出せるのは、契約サービス部門やIT部門などのメンバーからなるアジャイル型のプロジェクトを立ち上げて、短期間で繰り返し新しい保険料の支払いサービスを提供できる体制を整えているからだ。2020年5月時点で、アジャイル型のプロジェクトは42種類に上る。
アフラックは2019年初めから、アジャイル型の働き方について社内での普及を進めてきた。それまで立ち上げてきた新しい保険商品の開発などの社内プロジェクトは、数カ月単位で計画を立案して、数年単位で実現を目指すウオーターフォール型が中心だった。
しかし、それでは経営環境の変化に対応できない恐れが出てきた。金融業界に異業種の企業やスタートアップ企業が参入し、新しいデジタルサービスを提供する動きが加速しているからだ。そこでアフラックは「変化が激しい時代に柔軟かつスピーディーにお客様へ価値を提供する」といった目的を達成する手段として、アジャイル開発手法に着目。2019年1月、アジャイル推進室を立ち上げてアジャイル型の働き方を社内に普及させる取り組みを始めた。
具体的にはアジャイル型の働き方を進めていく意義についてビデオコンテンツやブックレットなどを通して訴求してきた。合わせて役員や管理職に向けてアジャイルな働き方を体験するワークショップを開いた。プロジェクト内の役割に応じた7、8種類の研修カリキュラムをアジャイル推進室が作成したうえで、研修を実施。延べ2200人の社員が参加したという。2019年7月からは、実際に業務部門やIT部門など様々な部署のメンバーからなるアジャイルプロジェクトを20種類以上、立ち上げて進めてきた。
本社にアジャイル型の働き方ができるエリアを新設
こうした成果を受けて、アジャイル型の働き方をより一層、社内で加速させることを狙い2019年11月、アフラックは東京・新宿本社に「Aflac Agile Base」を新設した。Aflac Agile Baseはアジャイル開発手法を取り入れた働き方ができる拠点だ。
拠点は受付と同じフロアに設けた。面積は450平方メートルほどだ。これまでも東京・調布にあるオフィスの会議室などでアジャイル型のプロジェクトを進めてきたが、東京本社にも専用エリアを新設した。
拠点の整備などを含めてアジャイル型の働き方の普及を進めてきた伊藤道博アジャイル推進室室長は次のように話す。「アジャイル手法では参画するメンバーの対話が大事だ。しかもプロジェクトとしては柔軟性や透明性を保ちながら、スピード感ある運営が欠かせない。こうしたことを実現できるように、総務部門と連携しながらオフィスを設計し、必要な設備をそろえた」