アフラック生命保険は2022年春、クラウド型プラットフォーム「ADaaS(Aflac Digital as a Service、アダース)」を構築し、保険代理店や顧客などに向けて様々なデジタルサービスの提供を始めた。今回は保険代理店向けの営業支援サービスの1つである「営業サポートAI」を取り上げる。
保険代理店のベテラン営業担当者が新人担当者の営業に同行する「営業同行」。ベテラン営業担当者がいつでも同行できればいいのだが、ベテランほど多忙で同行できるとは限らない。そうであるなら代わりにAI(人工知能)が新人の営業に同行できないだろうか──。
こんなアイデアを形にしたのが、アフラック生命保険が保険代理店向けに開発したサービス「営業サポートAI」だ。2022年10月時点で8つの保険代理店が導入し、パイロット運用中だ。
ベテラン営業担当者が新人担当者の顧客訪問時に営業同行すると、新人担当者だけで訪問した場合に比べて望ましい説明や提案ができ、保険成約の可能性は高まる。新人の振る舞いをベテランが見ることで問題を見つけて改善策を示せるし、新人が先輩の振る舞いから望ましい応対の仕方を学べるので格好の教育の場にもなる。
アフラック生命保険の代理店でも営業同行を重視してはいるものの、実現は難しくなっている。大きな要因は人手不足だ。代理店の管理職は部下の育成や労務管理などの仕事にとどまらず、プレーイングマネジャーとして自身も営業活動に携わる場合が多い。「売り上げの向上を目指しながら、後輩全員の営業に同行するのは時間的に余裕がないという問題に直面している」と、営業サポートAIの開発に携わるアフラック生命保険の平谷剛志プロダクトオーナー(当時)は説明する。
そこでアフラック生命保険は忙しい代理店の管理職に代わって、AIが新人の営業活動に付き添う営業サポートAIを開発した。オンライン営業向けのバージョンは2021年4月から開発に着手し、2021年10月にリリース。2021年11月から提供を始めた。その後、対面営業向けのバージョンの開発を2022年1月にスタートさせて、2022年5月にリリース。2022年6月から利用を本格化させている。いずれのバージョンも半年程度の期間で開発し、提供している。