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 DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む日本企業がレガシーシステムの活用に手を焼いている。レガシーシステムが抱えるアプリやデータを活用したいが、既存システムに手を入れたくないというユーザーは少なくない。

 レガシーシステムはそのままに、スマホやセンサー、AI(人工知能)といった新たなテクノロジーを加えることでもDXは進められる。その手法として注目を集めているのがクラウドとの連携だ。

 AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)といったメガクラウドは、開発環境だけでなく、データベースや各種ミドルウエアをサービスとして提供する。こうしたサービスを活用してクラウド上にアプリを開発し、オンプレミス環境にあるレガシーシステムと連携させ、新たなサービスを生み出したり、業務効率を向上したりできる。

PaaS活用でシステムを拡張

 オンプレミス環境にある既存システムはそのままに、Microsoft AzureのPaaS(Platform as a Service)を活用して機能拡張したのが富士フイルムソフトウエアである。同社は画像管理、共有サービス「IMAGE WORKS」の開発、運用を手掛ける。

 オンプレミス環境で運用していた従来のIMAGE WORKSには、開発や運用の負荷が重い、利用者からの検索性能が低下するといった課題を抱えていた。オンプレミス環境にある既存システムに、新たにAzure上で開発したシステムを組み合わせてIT基盤を刷新し、課題の解決を図った。

画像管理、共有サービス「IMAGE WORKS」をAzureで拡張
画像管理、共有サービス「IMAGE WORKS」をAzureで拡張
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 Azure上で新たにファイルの検索機能を作り、検索性能を向上させた。具体的には、Azureが提供するNoSQLデータベース「Cosmos DB」と検索サービス「Azure Search」を組み合わせて実装した。

 既存のシステムではオープンソースのデータベースである「PostgreSQL」にファイルを格納し、それを検索していた。IT基盤の刷新後、既存システムはマスターファイルの保管やアカウント管理、権限管理などを担う。マスターファイルが更新された際は、イベント駆動型コード実行機能「Azure Functions」を使い、Cosmos DBやAzure Searchにデータを同期する仕組みだ。

 「オンプレミス環境とクラウドをまたがったトランザクション制御は難しい」。日本IBMの二上哲也執行役員IBMオープン・クラウド・センター長がこう話すように、オンプレミス環境とクラウドの連携では、単純なファイルやデータの受け渡しによる疎結合が基本になる。

 両環境のデータを同期する手法として、バッチ処理は一般的だ。富士フイルムソフトウエアが用いたイベント駆動型コード実行機能は、更新のタイミングでこまめにデータ同期する処理に向くので、これも活用を検討したい。