新型コロナウイルスの影響で、自宅にいる時間が長くなった人は多いだろう。本特集では、在宅の時間を生かしてパブリッククラウドサービスを実際に使い、慣れ親しむことを提案したい。主要クラウドは新規ユーザーを取り込むために、手厚い無料試用枠を用意している。無料の範囲内でもいろいろなツールを作れる。今回はAmazon Web Services(AWS)を取り上げる。
AWSは60ほどのサービスについて無料枠を設定しており、「AWS 無料利用枠」というWebページで一覧できる。主力サービスの1つである仮想マシン「EC2」は月間750時間まで12カ月間無料。オブジェクトストレージ「S3」は5ギガバイトまで12カ月間無料だ。
これだけ多くのサービスがあると、どこから手を付けたらいいか分かりにくい。アマゾン ウェブ サービス ジャパンの大久保順コンピュート事業本部長は2つのテーマを推奨する。
1つはサーバーレス系のサービスだ。サーバーレスのNoSQLデータベース「DynamoDB」は25ギガバイトまで無期限に無料で使える。サーバーレスのイベント駆動型コード実行サービス「Lambda(ラムダ)」は月100万リクエストまで無期限に無料だ。「大掛かりなシステムでも無料で作れる」(大久保本部長)。
サーバーレスはAWSが注力する分野だということもあり、資料も充実している。具体的にはAWSがネットで無料提供している「サーバーレスの始め方」というリーフレット(PDFファイル)が参考になる。簡単なWebアプリケーションの作り方や、音声アシスタント用の「Alexaスキル」の作り方などを紹介している。
もう1つの推奨テーマは人工知能(AI)系のサービスだ。「AIや機械学習の専門知識がなくても、データを投入して結果を見るという流れを設計するだけで最新技術を体感できる」(大久保本部長)。
AI関連では音声合成の「Polly」、画像認識の「Rekognition」、音声文字起こしの「Transcribe」、機械翻訳の「Translate」などに無料枠がある。