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 NTTとNECが「5G」(第5世代移動通信システム)の基地局開発で手を結ぶ。両社は2020年6月25日、オンライン会見を開き、NTTがNECへ約5%出資すると正式発表した。米中対立の激化によってサプライチェーン(供給網)リスクが顕在化する中、両社はオープンアーキテクチャーを武器に、2030年にオープン仕様の基地局で世界シェア20%を狙う。しかし基地局市場全体でみると大手の背中は遠く、世界への巻き返しは長い道のりになりそうだ。

資本提携を正式発表したNEC社長兼CEOの新野隆氏(左)とNTT社長の澤田純氏
資本提携を正式発表したNEC社長兼CEOの新野隆氏(左)とNTT社長の澤田純氏
(撮影:オンライン会見をキャプチャー)

 「世界でグローカリズムが進捗している。信頼できるパートナーとともに日本発の製品を世界に展開していく」

 同日会見したNTT社長の澤田純氏はNECへ出資を決めた理由をこのように語った。NTTはNECへ約645億円出資し同社の第3位株主になる。両社は共同でオープンアーキテクチャーを採用した5G基地局製品を開発し、海外市場に打って出る。さらにNTTが2030年代の実用化を目指す、ネットワークから端末まで情報処理に光技術を使う「IOWN構想」でも両社は共同で研究開発を進める。

Open RANを切り札にファーウェイ対抗

 NTTとNECがファーウェイなど大手対抗の切り札として掲げるのが昨今、携帯電話市場で注目を集める「Open RAN」だ。Open RANとは、基地局製品をマルチベンダーで組み合わせて構成できるオープン仕様のこと。4Gや5Gなどの通信方式は、携帯電話の標準化団体「3GPP」で標準仕様が決められているが、細部に至るまで仕様が決められているわけではない。例えば基地局を構成するRU(Remote Unit)やDU(Distributed Unit)、CU(Central Unit)は、これまで複数ベンダー製品で組み合わせることが難しく、同一ベンダーでそろえる必要があった。

英調査会社Omdiaによる19年の携帯インフラの売上高シェア
英調査会社Omdiaによる19年の携帯インフラの売上高シェア
カッコ内は前年からのシェア増減。(出所:英Omdia)

 その結果、世界の基地局市場は大手ベンダーによる囲い込みが進み、ファーウェイを筆頭にスウェーデンのEricsson(エリクソン)、フィンランドのNokia(ノキア)の大手3社でシェア8割という寡占状態になっている。

 Open RANは、そんな大手ベンダーによる囲い込みを避け、さまざまなベンダーの機器を適材適所で導入できるようにしていく取り組みだ。大手ベンダーに依存していた機器調達を広げることで、競争による機器コストが下がるという期待がある。