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赤さびは鉄をボロボロにする天敵

 非常に身近な材料である鉄を例に、さびについてもう少し詳しく説明しましょう。鉄のさびには赤く見える「赤さび」と、黒く見える「黒さび」の2種類があります。赤さびの正体は酸化第二鉄(Fe2O3)。黒さびの正体は四酸化三鉄(Fe3O4)です。

 日常生活で目にする「さび」は通常、赤さびです。これは鉄の天敵です。赤さびには隙間が多いので、その隙間から入り込んだ酸素や水と鉄が結合しやすく、どんどん奥へと進行していきます。挙げ句の果てには母材をボロボロにします。赤いさびが進行した鉄板の看板を、海辺などで見たことはないでしょうか。長い間雨風に吹かれた金属は、赤さびによって朽ち果てていきます。

 では天敵である赤さびの発生を防ぐにはどうすればよいでしょうか。それは「酸素と水の遮断」です。具体的には次のような対策例があります。

  • [1]表面に油やグリスなどの防錆(せい)剤を塗布する。
  • [2]表面にメッキ処理をする。
  • [3]表面を塗装する。
  • [4]真空梱包する。
  • [5]水分や塩分が少ない環境で使用する。

 上記の[1][2][3]は材料の表面に、酸素と水分の侵入を防ぐ膜をつけるという点で共通しますが、それぞれ一長一短があります。例えば[1]の防錆剤は手軽な対策ですが、油やグリスといった防錆剤を塗布すると、表面がベトベトして汚れます。また、ちりやほこりが付着して固化するのでメンテナンスが必要になります。

 それに対して[2]のメッキと[3]の塗装はこうした汚れがなく、メンテナンスの必要もありません。また塗装は選択できる色の豊富さという利点がある半面、膜厚がばらつくので高い精度が求められる精密部品での使用には適しません。精度が必要な場合には、メッキで膜厚の指定を行います。