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添加する元素によって異なる特徴

 ここまで、いくつかのAl合金を紹介しましたが、改めてAl合金の品種ごとの特徴を見ていきましょう(表2)。

表2 アルミ合金の種類の一覧
(出所:西村仁)
記号 合金の種類 主な特徴
1000系 純Al 純アルミ、強度は低い
2000系 Al-Cu-Mg系合金 加工性が良好、耐食性は劣る
3000系 Al-Mn系合金 成形性が良好
4000系 Al-Si系合金 熱膨張率が小さい、耐摩耗性が高い
5000系 Al-Mg系合金 代表的な合金、耐食性が良好
6000系 Al-Mg-Si系合金 代表的な合金、押し出し加工性が良好
6000系 Al-Zn-Mg系合金 超々ジュラルミン、強度に優れる

 1000系(純アルミニウム)は、成分の99%以上がAlです。純度が高いので導電率と熱伝導率は良いのですが、強度が低いので構造部品に使うことはありません(表3)。見栄えが良いので製品や生産設備のカバーなどに使われます。板材の材料記号は、Al合金の種類を示す名称の最後にPlate(板)のPを付けます。A1100の板材なら「A1100P」です。

表3 Al合金の性質の一覧
(出所:西村仁)
分類 JIS記号(通称) 耐力 引張強さ 硬度
N/mm2 N/mm2 HB
純Al A1100 35 90 23
Al-Cu系 A2017
(ジュラルミン)
275 425 105
A2024
(超ジュラルミン)
325 470 120
Al-Mg系 A5052 215 260 68
Al-Mg-Si系 A6063 145 185 60
Al-Zn-Mg系 A7075
(超々ジュラルミン)
505 570 150
鋳造品 AC2A 180以上 75
ADC12 150 310 86
注)主要な種類を抜粋。

 2000系(Al-Cu-Mg系)は、Alと銅(Cu)とマグネシウム(Mg)との合金です。Cuを添加しているので鉄鋼材料と同等の強度(降伏点と同じ意味をもつ耐力と引張強さ)を持ちます。

 ジェラルミンには「A2017」が、さらに強度を高めた超ジェラルミンには「A2024」が使われています。軽くて強いので航空機材料としても用いられます。ただし海水に対する耐食性は劣ります。加工性は高いのですが、溶接は困難です。

 5000系(Al-Mg系)は、Mgを0.5~5%添加した合金です。加工性と耐食性に優れた万能タイプです。Mgの含有量が多いものは強度が上がるので構造部品に使われます。代表的な合金が「A5052」です。

 6000系(Al-Mg-Si系)はマグネシウム(Mg)とシリコン(Si)を添加した合金です。強度や耐食性に優れているので構造材料として使われ、押し出し加工性にも優れているので板や棒、Lアングルなど形状のバリエーションも豊富です。建築用のサッシなどでも多用されます。

 7000系(Al-Zn-Mg系)は亜鉛(Zn)とMgを添加した合金です。Al合金の中で最も強度が高いのは先述した通りです。代表品種の「A7075」は鉄鋼材料の約1/3の比重で、強度は炭素鋼のSS400を超え、超々ジェラルミンとも呼ばれます。高価ですが、強度が必要な部品や、高精度の加工に適しています。

鋳造性が高く複雑形状などに適している

 Alの鋳造性が高いのは先述しました。鋳造は金型に溶融したAl合金を流し込み、冷やして固める加工法です。切削加工や曲げ加工などに比べて複雑な形状にも対応できるメリットがあります。ただし、鋳造には「型」が必要で、形状が複雑なものは型の製造自体にかなりの時間とコストを要するケースもあります。

 高コストになっても、寸法精度の高い鋳物を短期間で大量生産したい─。そんな時は金型鋳造の一種である「ダイカスト」が有効です。溶融したAl合金を金型に高速かつ高圧で射出して急速に固める方法です。1mm厚程度の薄肉にも対応できるので、精密部材の鋳造にも適しています。

 自動車のエンジンやトランスミッションなどの部品にはAlダイカスト品が採用されています。生産性が高く、軽量化を図れるのでクルマの燃費性能や加速性能を高めるのに貢献しています。

 次回は、Alと同じ非鉄金属である銅材料などについて解説します。

Web初出
第63回 易しく材料を学ぶコツ11
軽量化金属の主役、アルミニウムをサクッと理解