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物性が高いエンプラ

 エンプラにもたくさんの種類があります。その中で、ポリカーボネート(PC)はよく使われるものの1つです。「ポリカ」や「ポリカーボ」とも呼ばれます。透明度はアクリル樹脂と目視では差が分かりません。透明でありながら強度があり、衝撃にも強い特徴があります。材料内部のひずみを取り除くアニール処理(熱処理)を併用すると、0.01mm台の高い加工精度を得られます。PCの使用温度は−100~120℃で、身近な製品としてはヘルメットや自動車のヘッドランプレンズなどに使われます。

 ポリアミド(PA)も身近によく使われるエンプラの1つです。強度、柔軟性、耐熱性に優れ、吸水性もあります。米デュポンの商標に由来して「ナイロン」の名でも知られています。耐熱温度は80~140℃と少し高めです。

熱で硬化するベークライト

 熱硬化性プラスチックの代表例としてはベークライトが挙げられます。正式にはフェノール樹脂といいますが、実務では「ベークライト」や略して「ベーク」と呼びます。「ベークライト」は商標ですが、広く普及したためフェノール樹脂の代名詞になっています。

 フェノール樹脂は、茶系色で強度があって加工しやすく、安価です。アルミニウム合金の半分程度という軽さで、ものづくり現場では、治具の材料や搬送用のパレットなどによく使われます。

 エポキシ樹脂も、熱硬化性プラスチックの1つです。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の母材としては、主にこのエポキシ樹脂が用いられています。エポキシ樹脂にはさまざまな組成のものがあり、硬化時に分子が「エポキシ基」によってつながるものを総称してエポキシ樹脂といいます。接着剤や塗料としてもよく使われます。

 以上、代表的なプラスチックの性質は、のようになります。これらの多くは化石資源である石油から造られますが、近年は植物などの生物に由来するバイオマスプラスチックの開発と実用化が進んでいます。また、従来のプラスチックは自然界では分解せずプラスチックとして残ってしまうのに対して、土中などの微生物によって水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックも開発されています。植物由来かつ生分解性プラスチックの代表的なものにポリ乳酸(PLA)があります。

表 プラスチックの性質
主要な種類を抜粋した。ポリエチレンは低密度タイプ(LDPEと表記される)のデータ。(出所:西村仁)
名称 略称・別名 種類の記号 各性質(参考値)
密度 引張強さ 線膨張係数 常用耐熱温度
g/cm3 N/mm2(MPa) ×10−6/℃
ポリエチレン PE 0.92 8~31 100~220 70~90
ポリプロピレン PP 0.91 32 110 100~140
ポリメタクリル酸メチル アクリル PMMA 1.19 75 70 80
ポリ塩化ビニル 塩ビ PVC 1.47 55 70 60~80
ポリカーボネート ポリカ PC 1.2 62 70 125
フェノール樹脂 ベークライト PF 1.4 80 40 150~180

セラミックスとは焼き物

 プラスチック以外の非金属材料として、セラミックスについても紹介しておきましょう。セラミックスと書くと目新しく感じるかもしれませんが、陶器、すなわち焼き物の材料です。茶わんも湯飲みもセラミックス製品の代表例といえます。セラミックスの特徴は、硬くて、燃えず、さびないことです。

 手作業で造られた茶わんや湯飲みの材料成分は科学的に管理されておらず、焼成条件も毎回異なるので、焼き上がりにはばらつきが生じます。全く同じものを造ることは難しいので「工芸品」として重宝されています。このように一般的な陶磁器などのセラミックスを旧セラミックスと呼びます。

 これに対し、セラミックスのはさみやセラミックス部品といった「工業製品」は、成分も焼成条件も管理しているので、出来上がりも安定しています。これらの材料を「ニューセラミックス」や「ファインセラミックス」と呼びます。スマートフォンの中に800個近く使われている積層チップコンデンサーもニューセラミックスの製品の一例です。

 ニューセラミックスはさまざまな工業製品に使われており、2000℃にもなる高炉内壁の耐熱レンガのように、耐熱性や硬さといった特性を生かした用途のほか、電気や磁気を蓄える特性、透明性などを生かした用途で製品化されています(図4)。化学的に安定なことから、医療分野では人工骨や人工関節の材料として使います。温度変化による膨張と収縮が小さいのも特徴です。線膨張係数は鉄の約4分の1(窒化ケイ素の場合)に過ぎません。

図4 ニューセラミックスの機能
図4 ニューセラミックスの機能
さまざまな機能を生かして工業製品に使われる。(出所:西村仁)
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