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穴にめねじを加工する

 円柱の表面にらせん状に溝をつけたものが「おねじ」で、穴の内側に溝をつけたものが「めねじ」になります。このおねじとめねじを組み合わせて使用します。めねじ加工は、ドリルできり穴(下穴)をあけて、次にタップと呼ばれる工具で穴の内面にらせん状の溝を加工します(図6)。タップは3本一組になっており、タップ先端の食いつき部が短い(加工時の抵抗が小さい)順に、1番タップ、2番タップ、3番タップと使って加工します。このタップ加工は切りくずが詰まりやすいので、こまめに逆回転させてくずを排出します。

図6 めねじ加工に使うタップとタップハンドル
図6 めねじ加工に使うタップとタップハンドル
左がめねじを切るのに使うタップ。右が、タップを回すのに使うタップハンドル。(出所:西村仁)
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ねじ山は何ピッチ必要か

 最後に、めねじの加工深さについて紹介しましょう。その基になるのが、おねじがめねじに掛かる長さ(ねじ込み深さ)です(表、図7)。めねじが鉄鋼材料の場合は「ねじ径と同寸法」が基本です。すなわち、M6ねじの場合のねじ込み深さは6mmになります。大きな力や振動、衝撃が加わる場合には「ねじ径×1.5倍」を目安にします。

表 ねじ込み深さの目安
表 ねじ込み深さの目安
M6(ねじ径6mm)の場合を例に取って示した。(出所:西村仁)
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図7 ねじ加工の寸法
図7 ねじ加工の寸法
おねじがめねじに掛かる長さが「ねじ込み深さ」。「ねじ深さ」「下穴深さ」に適切な余裕を持たせる。(出所:西村仁)
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 またカバーなど力が加わらない際には4ピッチでも大丈夫です。例えば、M6ねじの並目ピッチは1.0mmなので、ねじ込み深さは4mmあればOK。めねじが鋳鉄やアルミニウム材料の場合には、「ねじ径×1.8倍」が目安になります。このねじ込み深さに対して、適切な余裕を持たせてねじ深さや下穴深さなどの加工寸法を設定します。

 ねじは、この千年で最高の発明とされています*3。当初は寸法が標準化されていなかったため、おねじとめねじは現物合わせで加工されており、組み合わせが異なると使えないといった苦労があったようです。

*3 ねじの発明とその後の進化については、「ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語」ヴィトルト・リプチンスキ著/春日井昌子訳(早川書房、ハヤカワ文庫NF)に分かりやすく紹介されている。文庫で気軽に読める。