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研磨加工の種類

 研磨加工では、砥石のように砥粒を固めずにそのまま工具(研磨材)として使用します。身近な研磨材には歯磨き粉があります。歯磨き粉に含まれる砥粒によって歯の表面を削っているわけです。

 機械加工としての主な研磨加工にはバレル研磨、サンドブラスト、バフ研磨、ラッピングなどがあります。バレル研磨はバレルと呼ぶ回転する研磨槽に工作物と砥粒を投入し、工作物表面の凸を除去します(図5)。バリ取りから鏡面仕上げまで広く活用されています。サンドブラストのサンドは砂、ブラストは突風の意味なので、細かい砂(砥粒)を高速で噴射させて工作物に当てて表面を削る加工です。バリ取りやサビ落としに用い、石に文字を彫り込む加工にもこのサンドブラストを利用しています。

図5 バレル研磨・バフ研磨・ラッピングでの研磨加工
図5 バレル研磨・バフ研磨・ラッピングでの研磨加工
砥粒を固めずにそのまま研磨材として加工に使用する。(出所:西村仁)
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 バフ研磨は、研磨材を塗布した布を高速回転させて工作物を当て、ピカピカに仕上げます。ラッピングは定盤と工作物の間に砥粒と油を混合したラップ液を入れて、圧力をかけながら相対運動させることにより高精度でなめらかな面に仕上げます。ブロックゲージやレンズの加工に用います。

研削加工の図面指示

 図面において加工法を特に指定する表記には、ドリル加工を指示する「きり穴」(2020年8月号で解説)と「研削加工」があります。表面粗さ記号に付属して「研削」と表記するのです(図6)。

図6 研削加工の図面指示
図6 研削加工の図面指示
旧JISでは表面粗さ記号に明示する場合があったが、現JISでは意味がない。(出所:西村仁)
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 ただし、この表記は現在では意味を失っています。その背景は表面粗さに関するJIS(日本産業規格、2019年6月までは日本工業規格)の変化です。2世代前の旧JISでは表面粗さを記号(▽、▽▽、▽▽▽)で表しており、その具体的な程度については経験知に基づく暗黙のルールで判断していました。そこで、仕上げとして研削加工が必要なレベルと設計者が考える場合には、▽▽▽記号に「研削」と表記し、その意図を加工者に伝えていたのです。

 しかし、現在のJISでは表面粗さの度合いを数値で表します。そのため、特に「研削」を指示する意味はなくなっています。