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 今回は加工の大分類の4つ目として、局部的に溶かして形をつくる「特殊加工」を紹介します。この加工にはレーザー加工や放電加工、エッチングといった方法があり、いずれも材料の一部を溶かして形をつくります。これまでに紹介してきた切削加工や成形加工のように力を加える「動的な加工」ではなく、力以外のエネルギーを用いた「静的な加工」です。工具が加工物に接触しないため、変形しやすい薄肉部品や精度を要する部品の加工に優れています。また他の加工法では難しい複雑形状の加工にも適しています。

 それでは光エネルギーを用いたレーザー加工から見ていきましょう。

光エネルギーを用いるレーザー加工の特徴

 講習会や報告会などで説明者がスクリーン上の資料を指し示すのに使うレーザーポインターは、レーザー光を使っています。レーザー光は優れた直進性が特徴です。太陽光を虫めがねで一点に集中させると紙がこげるのと同じように、レーザー光を一点に集中させると金属を溶かすほどのパワーになります(図1)。

図1 レーザー加工の原理
図1 レーザー加工の原理
レーザー光を当てたところを溶かす。(出所:西村仁)
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 レーザー光は1つの波長の光であるため、レンズなどを使ってエネルギーを狭い場所により強く集中させられます。いろいろな波長が含まれている光だと、レンズでの屈折の角度が波長によって少しずつ異なるので、焦点の前後にわずかにずれを生じますが、レーザー光にはこのずれがありません。

 このレーザー光を用いたレーザー加工の特徴は、

1)バイトやエンドミルといった切削工具が不要

2)工作物に力が加わらないので、変形が生じない

3)エネルギーが集中するので周囲への熱影響が少なく、熱ひずみも少ない

4)ダイヤモンドなどの高硬度な材料も加工が可能

5)レーザー光の軌跡をプログラムで自由に設計できる

6)切り代が少ないので、材料の歩留まりに優れる

7)複雑な形状や微小な加工も可能

8)ただし、反射率の高い純アルミや純銅はレーザー加工に適さない*1

*1 金属の光吸収率は短波長の光に対して高くなるため、より波長が短い青色半導体レーザーなどを加工に使う試みが進んでいる。