これまで材料編(計13回)と加工編(計11回)で基礎知識を紹介してきました。今号から図面の読み方を解説する図面編をお伝えします。
図面を読むのは加工者だけではありません。組み立てや調整、検査の担当者、原材料を手配する資材購買担当者、品質を保証する品質管理担当者、生産の流れをコントロールする生産管理担当者、顧客との接点である営業担当者といった広い部署の担当者が図面を通して情報を共有しています。
図面の読み方を学ぶ上でのポイントは、
1)立体のイメージができること。
2)情報を正確に読み取ること。
の2点になります。
今号からスタートする図面編では、この2つのポイントを分かりやすく説明します。
ものづくりの3ステップ
ものづくりの仕事の流れを大きく見ると、何を造るのかを「考える」、考えた通りに「造る」、完成したものを「売る」の3つのステップに分かれます(図1)。
考えるのは企画部や開発設計部、造るのは製造部、品質管理部、生産管理部、資材購買部といったものづくり現場の部門、売るのは営業部門になります。
このように担当が分かれているので、考える人は頭の中の考えを、造る人や売る人に伝えなければなりません。これを口頭で伝えようとすると、非効率な上に言い間違いや聞き間違いのリスクがあります。そこで「図面」という伝達手段を用いているのです。
すなわち図面の役割は、
1)頭の中で考えた内容を誰もが分かるように描き出す
2)描き手の意図を読み手に確実かつ容易に伝える
3)情報を保存する
の3つになります。
昭和時代に描かれた手描きの図面が、令和の現在でも使われ、当時とまったく同じように製品を造れるのは、図面が情報を保存しているからなのです。