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各図の名称について

 紙には3つの図が描かれています。それぞれの呼び方は、真正面から見た図は正面図、真横から見た図は側面図になります。側面図は右から見た図は右側面図で、左から見た図は左側面図です。今回の例では右から見ているので右側面図になります。

 注意が必要なのは、真上から見た図の呼び方です。これを上面図もしくは平面図といいます。上面図と呼ぶと分かりやすいのですが、平面図という呼び方もよく使われています。平面と言われても上面とは想像が難しいので、これは覚えておくしかありません。

6面すべてに描いてみる

 今度はガラス箱の6面すべてに描いてみましょう。下から見た下面図と、左から見た左側面図、後ろから見た背面図が追加になります。6面全てに描き込んでから広げて(図6、7)、先ほどと同じように紙に写すと図8になります。

図6 前後左右上下の6面全てに描き込んで広げる
図6 前後左右上下の6面全てに描き込んで広げる
(出所:西村仁)
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図7 6面全部が同一面になるように広げ切る
図7 6面全部が同一面になるように広げ切る
(出所:西村仁)
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図8 6面の図形を全て紙に描き写す
図8 6面の図形を全て紙に描き写す
(出所:西村仁)
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 このように6面になるのですが、皆さんが普段見ている図面はこのように6つも図が描かれているでしょうか。ほとんどの図面はもっと少ない数だと思います。その理由を説明します。

 図8の「右側面図と左側面図」「正面図と背面図」はそれぞれ左右対称、「上面図と下面図」は上下対称に近い図となっています。違いは外形線(実線)とかくれ線(破線)だけです。そのために両方を描かなくても理解できるので、設計者は片方しか描きません。

 このときどちらを省略するかというと、見やすさを優先してかくれ線を多く使っている図を消します。かくれ線より実線の方が見やすいからです。これにより6面が3面に減り、すなわち三面図になります。さらに、ここで例として示した形状の場合は上面図がなくても形は確定できるので、二面図で描けば十分です(図9)。

図9 実務では二面図で表す図形
図9 実務では二面図で表す図形
上面図(平面図)がなくても、2面の図で形状が確定する場合もある。(出所:西村仁)
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 このように、図面は読み手が理解できるならば「最小面数で描く」のが基本です(図10)。図の数が少なければ図面がシンプルになり読みやすい上に、描き手にとっても作図時間を短縮できて、一石二鳥なのです。

図10 必要最小限の面数で描く
図10 必要最小限の面数で描く
シンプルで読みやすく、描き手の負担も減る。(出所:西村仁)
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 最もシンプルな図面は正面図のみの一面図になります。“軸もの”のような丸形状や、板金部品などの平板形状でこの一面図が多く使われています(図11)。丸(円筒)を表す直径は「∅」、板金などの板厚みは「t」といった寸法補助記号で情報を表し、図の数を減らせるのです。寸法補助記号については次号以降で解説します。

図11 丸形状の一面図の事例
図11 丸形状の一面図の事例
直径記号により、側面図がなくても丸(円筒)形状であると分かる。(出所:西村仁)
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 余談ですが、三面図の「三」は図の数を意味しますが、第三角法の「三」に数の意味はありません。立体形状に対するガラス箱の向きや展開方法で1から4までの考え方があり、3番目の方法として第三角法と呼ぶくらいの意味合いです。

 次回は第三角法の図面から立体の形をイメージする方法を紹介します。