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 前回まで2回にわたって、立体を1枚の紙(図面)に表す方法である「第三角法」について紹介しました。今回は逆に、紙に描かれた図面を見て立体をイメージする手順を紹介します。

木彫りの手順でイメージする

 木材から像や模様などの立体を削り出す木彫りを考えてみましょう。木彫りする際には多くの場合、直方体の木を準備して、その各面に立体の輪郭線を事前に鉛筆で描いておきます。第三角法で説明したように、平面に投影する(描き写す)わけです。その後、輪郭線に沿って不要な箇所を削っていきます。

 図面から形をイメージする手順は、まさにこの木彫りで木材を削っていくのと同じになります。直方体の表面に引かれた線に従って不要な箇所を消していけば立体の形の出来上がりです。慣れれば頭の中だけでイメージできるようになるのですが、はじめは紙に描いてイメージしていきましょう。

手順1 直方体を描く

 まず、仮想的な“木材”として、手元にある紙に直方体を描きます。これには立体図の1つである等角投影図が便利です。等角投影図には

(1)幅方向と奥行き方向の線は、水平線に対して30°の角度で描く

(2)手前にある辺も遠くに離れている辺も、長さが同じなら同じ長さの線で描く

という特徴があります。

 私たちが日常見る風景では、同じ長さでも遠くに離れるほど短く見えます。しかし、その通りに描いていては手間ばかりかかってしまうので、同じ長さで描くのです(図1)。

図1 三面図と等角投影図
図1 三面図と等角投影図
等角投影図(アイソメトリック図)は左上・右上それぞれ30°方向の線と、垂直方向の線で描く。(出所:西村仁)
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