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任意の位置で切断する断面図

 先の図1~図3は形状が中心線について軸対称であるため、中心線を含む面で切断します。どこで切断したかが明らかなので、図面には切断面の指示も「断面図」の文言表記もありません。

 これに対して図4のように、正面方向から見た中央部分がくぼんで(細くなって)いて、そこに穴が開いている形状の場合はどうでしょう。この場合は、穴の中心で切断した側面方向からの断面図が一番内部をよく表します。しかし、この穴位置はものの中心位置(正面方向から見た左右中心)ではありません。そのため、どこを切断したかを図面に明示する必要があるのです。

図4 内側が小さい形状の事例
図4 内側が小さい形状の事例
小さな中心部(正面方向から見た左右中央部分)は、通常の三面図ではかくれ線として破線表現で描かなければならないため、断面図を使うのが適当。(出所:西村仁)
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 図4の形状を図面にしたものが図5です。正面図に中心線(一点鎖線)と、その両端が少し太くなった線が引かれています。これが切断面を表します。

図5 任意の位置を切断した断面図による図示方法
図5 任意の位置を切断した断面図による図示方法
図4の図形の三面図。右側面図を断面図で描いている。(出所:西村仁)
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 太くなった部分には短い矢印が付いています。この矢印は、切断面をどちらの方向から見るのかを示しています。この図の場合は正面図の断面を右から左に向かって見ると示しています。

 2つの矢印の近辺に切断面を表す「A」の記号がついています。1つの図面の中に複数の切断面(断面図)がある場合には、「A」から順に「B」「C」の記号を用います。どの切断面に対応する断面図なのかを示すため、断面図には「A-A」もしくは昔からの慣例で「A-A矢視図」と記載されています。