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はめあい記号の一例

 はめあい記号は、穴径は「英大文字+通し番号」、軸径は「英小文字+通し番号」で表記されます。たとえば直径∅4の穴と軸では、穴径を「∅4H7」、軸径を「∅4g6」などと表されます(表1)。

表1 はめあい公差の一例(抜粋)
表1 はめあい公差の一例(抜粋)
はめあい公差としてよく使うはめあい記号の組み合わせとして、穴の「H7」に対する軸の「g6」「r6」がある。JISには他にも多くの種類があるが、実務で使われる記号は限られている。(出所:西村 仁)
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 はめあい記号が示す実際の公差は、穴や軸の直径(寸法区分)によって変わってきます。例えば穴の「H7」は、直径4mmの場合で

を、直径20mmであれば
となります。一方、同じ直径4mmの場合でも、軸の「g6」は
、「r6」は
になります。

 はめあい記号には多くの種類がありますが、実務で使われる記号は限られています。よく用いられるはめあい記号は、すきまばめでは先に紹介した穴径「H7」と軸径「g6」の組み合わせ、しまりばめ(圧入)では穴径「H7」と軸径「r6」の組み合わせです。

 はめあい公差と寸法公差のどちらを使うかは、公差値の精密さの度合いで分けています。公差値が小数点以下3桁(マイクロメートル)になる場合ははめあい公差で表し、小数点以下が2桁や1桁のとき(100分の1mmや10分の1mmレベル)は数値を用いた寸法公差で表すのが一般的です。

 穴径と軸径の公差は、先に穴径の公差を選ぶのが一般的です。穴加工は主にリーマー(側面が切れ刃になった高精度に穴加工できる工具)を用いるからです。すなわち穴径公差はリーマー径で決まることから固定(先の例ではすきまばめもしまりばめもH7)しておき、軸径公差を用途によって変える(先の例ではg6やr6)のが効果的です。

平らな面を指示する平面度

 ここまで紹介してきた寸法公差とはめあい公差は、寸法(サイズ)に対する公差でした。次に紹介する幾何公差は形や位置に対する公差です*2。幾何公差には表2のように多くの種類がありますが、ここでは平面度と平行度を紹介します。

*2 幾何公差の規定は、JIS B 0021:1998(ISO/DIS1101:1996)『製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式』、JIS B 0420-2:2020(ISO 14405-2:2018)『製品の幾何特性仕様(GPS)-寸法の公差表示方式-第2部:長さ又は角度に関わるサイズ以外の寸法』などにある。
表2 主な幾何公差の種類
表2 主な幾何公差の種類
形状や位置に対する幾何公差には多くの種類がある。(出所:西村 仁)
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 平面度は真っすぐで平らな面を指示する幾何公差です。平面の度合いを数値化するために、完全平面のガラス板2枚で対象となる面を平行に挟み込むと仮定します(実際には挟めませんが)。このとき挟み込んだガラス板の隙間が平面度です。図2のように隙間が0.01mmであれば、平面度は0.01になります。すなわち平面度の公差値は小さいほど完全平面に近づきます。

公差範囲(立体表示)
公差範囲(立体表示)
公差範囲(断面表示)
公差範囲(断面表示)
図面指示
図面指示
図2 平面度の一例
完全平面の“ガラス板”(図中の破線)2枚で対象の面を平行にはさみ込むと仮定し、ガラス板の隙間が平面度になる。この隙間の許容範囲が、平面度の公差である。(出所:西村 仁)

 この平面度の公差は図面には長方形の枠に記載されます。枠内の左側は幾何公差の記号、右側は公差値を表します。