全3038文字
PR

平行の度合いを指示する平行度

 先の平面度は1つの面が対象でしたが、平行度は2つの面が対象になります。片方の面を基準として、もう片方の面との平行の度合いを表すのが平行度です。

 ここでは、完全平面のガラス板を3枚想定します。まず、1枚を基準となる面に当て、これと完全平行となるように残り2枚を動かします。この2枚のガラス板で、もう片方の面をはさみ込んだ際の隙間が平行度になります。図3は平行度0.02を意味します。

公差範囲(立体表示)
公差範囲(立体表示)
公差範囲(断面表示)
公差範囲(断面表示)
図面指示
図面指示
図3 平行度の一例
完全平面で、かつ互いに平行な“ガラス板”(図中の破線)を3枚用意し、1枚を基準となる面(底面)に当てて固定し、残りの2枚を動かしで対象の面をはさみ込むと仮定する。(出所:西村 仁)

 この平行度の公差も長方形の枠に記載されます。左側は幾何公差の記号、中間は公差値、右側は基準となる面を表します。この基準となる面(JISではデータムという)は正方形で囲んだアルファベットの大文字で指示します。

幾何公差の難しさ

 ここでは平面度と平行度を紹介しましたが、疑問を感じる人がいるかもしれません。皆さんの手元にある角形状の図面を見てみてください。ほとんどの図面には平面度も平行度も記載されていないと思います。本来、直方体の6面全てに平面度が、対向する面には平行度が必要になるにもかかわらずです。

 その理由は、一般の加工精度で十分確保できる場合には、幾何公差を指示しないからです*3。加工者に注意を喚起する必要があるような精度が求められる場合に指示しているのです。寸法公差とはめあい公差は、加工の実力や注意喚起の必要性を問わず、直接もしくは間接的に普通公差により指示するのと対照的な扱いです。

*3 幾何公差についての普通公差は、日本産業規格(JIS)B 0419-1991(ISO 2768-2:1989)『普通公差-第2部:個々に公差の指示がない形体に対する幾何公差』に規定がある。

 そのため一般的な加工精度や加工限界を知らなければ幾何公差は指示できません。特に、幾何公差で指示するような形状の正確さや姿勢、位置に関する加工の実力を把握するのは容易ではありません。これが設計者にとっても幾何公差が難しい理由の1つになっています。

 次回は図面編の最終回になります。表面粗さと溶接記号を紹介します。