初回(2019年4月号)から前回(22年2月号)まで35回にわたり「材料編」「加工編」「図面編」として連載を進めてきました。ここで一息ついて、ものづくりにおける技術力を整理したうえで、続編として品質管理編に入っていきたいと思います。
知識の蓄積とOJTで技術力を向上
ものづくりにおける技術力は製造業の生命線になります。ここでいう技術力は開発設計だけが対象ではなく、加工の技術、組立調整の技術、品質を維持管理する技術、効率的にものを流す生産管理の技術、安くタイムリーに部材を調達する技術など広く捉えたものです。
これらの技術力を育成する切り口は、「知識の蓄積」と「実践を通して学ぶOJT」になります。OJTはOn the Job Trainingの略で、実務を通して実践に必要な能力を身につける育成方法です。ここでは、前者の知識の蓄積について考えてみたいと思います。
基礎知識は固有技術と管理技術
ものづくりの技術力向上に必要な知識といっても漠然としているので、分解して整理してみましょう。まずは部門を問わず知っておくべき「基礎知識」と、自身が担当する分野の「専門知識」に分けられます(図1)。
さらに基礎知識は「固有技術」と「管理技術」に分けると理解しやすいと思います。固有技術は、純粋にものを造るのに必要な技術です。しかし造れたとしても、不良が多かったり、時間がかかって納期に間に合わなかったりするようではビジネスとして成立しません。そのためには「効率良く造るための技術」が必要です。これが管理技術になります。
すなわち固有技術がなければ、ものを造ることができず、管理技術がなければ、ビジネスとして利益を得ることができません。これら2つの技術に関する基礎知識が必要なのです。