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売り上げを増やす方策と効率良く造る方策

 売り上げを増やすためには、顧客に買ってもらわなければなりません。そのために必要な強みとして「マーケティングの4P」がよく知られています。4つのPは「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「広告宣伝(Promotion)」になります。

 製品には、顧客を魅了する性能や機能、デザインが求められ、この製品の魅力に対して妥当な売価設定が必要になります。また入手のしやすさと製品の魅力を発信するのが流通と広告宣伝です。この4つのPがそろってはじめて顧客に製品を買ってもらえる、とされます。この取り組みが経営戦略、製品開発、販売戦略になります。

 一方、売り上げが増えても出ていくお金がそれ以上に多くなると利益は得られません。そのために効率良く造る必要があります。この取り組みが先ほど紹介した3つの管理技術、すなわち品質管理、原価管理、生産管理による取り組みであり、さらに設備管理、労務管理、購買管理が加わります。

 ものづくり現場の使命を示す言葉として広く知られるQCD(文字通りキューシーディ―と読む)は3つの管理技術を意味し、QはQuality(品質)、CはCost(コスト)、DはDelivery(納期)の頭文字です。よいものを安く造って、顧客の納期通りに届けるための要素です。このQCDは、さらに具体的に「製造品質」「製造原価」「生産期間」で捉えることをおすすめします(図4)。

図4 4PとQCD
図4 4PとQCD
4つのPは売り上げを増やすための取り組み、ものづくり現場のQCDのコントロールは効率良く造って出金を抑える取り組み。(出所:西村 仁)
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品質Qは製造品質で捉える

 ものづくりは、まず何を造るのかを考えて、次にその考えた通りに造り、完成したものを販売するという3ステップで進みます。

 何を造るか考えるのは企画や開発の部門、もしくは顧客の場合もあります。造るのは製造、品質管理、生産管理、資材購買といった部門で、販売するのはもちろん営業部です。

 ここで品質Qについて考えてみましょう。品質は仕事でも日常生活でもよく使う言葉ですが、製造業の業務の視点でとらえると「設計品質」と「製造品質」の2つの意味があります。

 前者の設計品質とは、企画や開発の担当者が考えた「狙いの品質」を意味します。すなわち考えた質がもし顧客にとって魅力がないものならば、造る以前にゲームオーバーになってしまう、とても重要な品質になります。

 一方、後者の製造品質は考えた通りに、すなわち図面通りに造る「できばえの品質」を意味します。図面通りに過不足なく造るのが現場の使命です。そのためものづくり現場におけるQCDのQは、後者の製造品質と捉えます。

コストCと納期Dの捉え方

 コストCは、ものが完成するまでに必要となる「製造原価」「販売費」「一般管理費」に大別できます。ものを造るのに必要な費用が製造原価で、販売に必要となる費用が販売費、本社で使った費用が一般管理費になります。ものづくり現場でのコストCは製造原価と捉えます。

 納期Dについては、顧客の希望納期を守ることが企業の信用にも関わるとても大切な要素です。この納期の順守と生産期間とは密接な関係があります。

 生産期間は、生産をスタートしてから完成するまでの時間です。顧客の希望納期に対して生産期間が十分に短ければ、注文を受けてから造る「受注生産」が可能ですが、生産期間の方が長ければ、注文を受ける前に販売量を予想して造り、在庫で対応する「見込み生産」とせざるを得ません。

 ものづくり現場には、生産期間を短くする取り組みが求められます。生産期間が短ければ顧客の無理な納期にも対応しやすくなり、見込み生産の場合でも在庫を必要最小限にできるからです。

 次回から、管理技術を具体的に説明していきます。まずQCDの品質Qについて、ものづくり現場における製造品質の詳細を紹介していく予定です。