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 前回(2022年3月号)はものづくりに必要な基礎知識として、固有技術(材料知識・加工知識・読図知識)と管理技術(品質管理・原価管理・生産管理)があることと、それぞれの概要について紹介しました。今回から数回にわたって、管理技術の1つである品質管理について解説していきます。

品質の意味を考える

 最初に、「品質」について考えてみましょう。品質は仕事だけでなく、日常会話の中でも「品質が良い」「品質が悪い」といったように使います。では品質とはいったい何でしょうか。品質が良いとは、性能や機能が高いことなのか、故障しないことをいうのか。品質の意味をひとことで言い表すのは難しそうです。

 品質管理に関する日本産業規格(JIS)である「JIS Q 9000」を見ると、品質とは「対象に本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」とあります(図1*1。要求事項とは「明示されている、通常、暗黙のうちに了解されている若しくは義務として要求されている、ニーズ又は期待」とされています。

図1 「品質」の定義
図1 「品質」の定義
品質が良いと造り手の企業が言っても、顧客が満足しなければ品質が良いことにはならない。(出所:西村 仁)
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*1 JIS Q 9001「品質マネジメントシステム―基本及び用語」は、国際標準化機構のISO 9000を基に作成した規格。

 これでは分かりにくいので、旧「JIS Z 8101」を見ると「品物又はサービスが、使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質・性能の全体」と書かれています*2。使用目的を満たすこと、すなわち顧客の要求を満たす程度、ひとことで言えば顧客満足度になります。品質が良いと造り手の企業が言っても、顧客が満足しなければ品質が良いことにはなりません。

*2 「JIS Z 8101:1981(品質管理用語)」の記述。1999年に国際標準化機構の「ISO 3534」を基とした規格に改正され、「JIS Z 8101-1~JIS Z 8101-3(統計―用語と記号)第1部~第3部」に置き換わった。