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設計品質の2つの使命とDR

 ただし現実的には、開発設計では「顧客を引きつける魅力のある品質」が優先されて、「ものづくり現場での造りやすさの品質」の優先度はしばしば2番手になってしまうのが実情です。この対応策として知られるのがデザインレビュー(DR)です。

 DRは図面を作成する段階で、ものづくり現場の加工・組立・調整・検査といった関連する部署の担当者にアドバイスをもらう仕組みになります。DRに参加する担当者は自身の目線で、加工しやすさ、組み立てのしやすさなどについてアドバイスします。

 DRの和名は「設計審査」とされているのですが、本来DRは合否を判断する審査の場ではありません。ものづくりの担当者が一堂に会して、良いものを造るための情報を共有する場になります。そのため、ものづくり現場の担当者から開発設計者へ向けて、どう設計すれば効率的にものづくりができるのかを具体的にアドバイスすることがDRのポイントになります。効率良く造れるようになれば、必然的に不良も減っていきます。

 また計画図を基に作図する組立図と部品図の確認作業を「検図」といいます。JISのルール通りに描かれているか、寸法漏れや寸法ミスはないかといった点を先輩や上司が第三者の視点でチェックします。以上のように図面は「DR」と「検図」という仕組みにより品質を確保しています。

設計品質と製造品質の担当

 企業の組織によって異なるのですが、設計品質と製造品質についての一般的な役割分担を整理しておきましょう。設計品質を担当するのは「企画」「開発設計」「試作評価」で、製造品質の担当は「生産準備」「量産試作」「量産」になります(図4)。

図4 設計品質と製造品質の分担
図4 設計品質と製造品質の分担
企画・開発設計において設計品質をつくり込み、試作評価で実際に造って確認する。量産試作は量産と同じ造り方で製造品質を確認する過程。さらに、量産移行後も初期は製造品質の安定に向けた作業が続く。(出所:西村 仁)
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 まず、企画・開発設計で設計品質をつくり込み、試作評価で実際に造って確認します。この結果が良好ならば、ものづくり現場に移管されます。

 生産準備は、量産の体制を整える作業で、作業手順を明確にし、治具や設備を導入します。次の量産試作では、量産と同じ造り方で試作数を増やして確認します。品質だけではなく、作業時間や設備の稼働状況が計画通りかをチェックします。ここで一定水準に達すれば、量産に入ります。

 量産の初めのうちは「初期流動」といって、量産試作では判明しなかった問題を洗い出します。この間は検査の頻度や数量を増やすといった体制の中で工程の安定化を図ります。これらの活動を「初期流動管理」と呼んでいます。狙い通りの安定した工程になれば本量産に移行します。

 今回は「品質」について見てきました。次回は製造品質を管理する「品質管理」を紹介します。