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 前回(2022年5月号)では、良品と不良品の判定基準と、数値による製造品質の管理についてお伝えしました。今回は、品質管理のポイントになる「検査と予防」を紹介します。

* JIS(日本産業規格)では適合品・不適合品と呼ぶが、本連載では良品・不良品の名称を用いる。

外部不良と内部不良

 不良とは「製造品質(できばえの品質)が設計品質(狙いの品質)を満たしていない状態」をいい、この不良は「外部不良」と「内部不良」に分かれます。外部不良は不良品が市場に流出したものです。それに対してものづくり現場で発見される不良は内部不良で、工程内不良ともいいます(図1)。

図1 外部不良と内部不良
図1 外部不良と内部不良
外部不良は不良品が市場に流出したもの。内部不良(工程内不良)はものづくり現場で見つかる不良。(出所:西村 仁)
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 前者の外部不良は顧客に見える不良で、クルマや家電製品のリコールはこの外部不良になります。一方、内部不良は廃棄もしくは手直しを行います。顧客には見えない不良ですが、材料費や労務費といったコスト(費用)が損失になってしまいます。

外部不良の2つのダメージ

 外部不良が生じると、2つの大きなダメージを受けます。1つは利益を損なうダメージです。不良品の回収と良品への交換や返金などに多額の費用が必要となります。また最近ではSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などで悪評は一気に広がるため、売り上げが減少するリスクも伴います。すなわち収入が減り出費が増えることによる利益減少です。

 もう1つの大きなダメージは、社員の士気が下がることです。会社のブランド力が低下し、クレーム対応というネガティブな業務ではモチベーションの維持が難しくなります。