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 前回まで、4回にわたって品質管理の基本となる理論を紹介しました。今回からは、その理論を品質管理に生かす手法について解説します。

 さまざまな手法が出てきますが、図や資料の作成方法といった詳細の解説は専門書に任せるとして、ここでは実務に生かすコツをお伝えします。

定番の手法を生かす

 ものづくりの手法には、我々の先人たちが築き上げた定番があります。ベストセラーを超えて、ミリオンセラーといったところでしょうか。そのため時代に合わせて刻々と変化する経営戦略や販売戦略のように新たな手法を開発する必要はありません。

 に、ものづくり現場で品質管理の取り組みに生かす主な手法の全体像を示します。「進め方」「個別手法」「統計」「その他」に分けてみました。品質管理でよく知られているのがおなじみの「QC七つ道具(QC7つ道具)」です。これらの中から適した手法を臨機応変に選択します。

表 ものづくりの主な定番手法
「進め方」「個別手法」「統計」「その他」で分類。これらの先人たちが築き上げた手法は、時代が変わっても古びずに通用する。(出所:西村 仁)
分類 手法 概要
進め方 PDCAサイクル
QCストーリー
改善の進め方
QCサークル(小集団改善活動)の進め方
個別手法 ブレーンストーミング アイデア発想の会議手法
QC7つ道具 チェックシート
パレート図
特性要因図
グラフ
散布図
ヒストグラム
層別
データを記録する際のシート
何が一番問題なのかが分かる
原因の可能性のある要因を洗い出す
データの大きさや変化が分かる
2つのデータの関係をつかむ
ずれとばらつきが分かる
データを分ける
新QC7つ道具 定性的に分析する手法(主に製品開発)
統計 平均値
範囲
標準偏差
代表値を表す
最大値と最小値の差
ばらつきを表す
その他 管理図
実験計画法・品質工学(タグチメソッド)
検定・推定
相関分析・回帰分析
工程が安定か不安定かを示す
統計を用いて、効率良く加工条件や工法条件の最適値を見いだす
抜き取った少数データから元の母集団を調べる
2つの変数の相関度合いを数値化する

 今回は取り組みの進め方とブレーンストーミング、QC7つ道具のパレート図を活用するコツを紹介します。