ここまで7回にわたり、品質管理の基本をお伝えしてきました。今回は品質管理編の最終回として、品質の改善に取り組む際のコツを紹介します。
4~5人のチームで取り組む
改善活動は、ぜひチームで取り組んでください。チームを組む理由は明快で、
- 複数のメンバーから、さまざまな意見やアイデアを出し合えるので効率がよい
- 個人任せでは、改善に行き詰まったときに八方塞がりとなり、心が折れてしまう
の2つです。
1人よりも、メンバーで議論するほうが、多くの意見やアイデアが出るだけではなく、メンバーの経験に基づいたさまざまな視点により、議論の幅が広がります。
ただし、メンバーの人数が多すぎると、発言する人と発言の少ない人に分かれてしまうので、チームは4~5人程度にするのがお勧めです(図1)。これよりも人数が多い場合には、2つのグループに分けて取り組んでください。
一方、参加できる人数が限られる場合には、2人でもよいのでチームを組みます。2人で取り組めば、1人の場合よりも2倍以上の効果を期待できます。
難しい問題への突破力を得るにも、複数人数のほうがはるかに有利です。本来は技術面に集中したいところが、1人だけだと精神的なプレッシャーやストレスに多くのパワーを割かれてしまうからです。
改善の進め方と目標設定
改善を進める手順は、PDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルやQC(Quality Control)ストーリーが参考になります(図2)。
ただし「目標の設定」の時点では、原因も対策も決まっていないので、具体的な目標値を決めるのが難しい。そこでまずは「30%の改善」が妥当かと思います。
例えば、キズ不良の30%削減といった目標値です。本連載の品質管理編第5回(第40回)でも述べましたが、10%の改善になると、現状のバラツキ範囲に入ってしまうので、改善の目標値としては低いと感じます。一方、50%の改善では、取り組みの難易度が一気に上がってしまいます。そこで、30%前後を改善の目標として、半年程度を活動期間として取り組みます。
活動期間を半年としましたが、これが1年といった期間になると、結果がなかなか出てこないので、モチベーションの維持が難しくなると思います。
そこで、背伸びすれば届くくらいのレベルを目標として、数カ月や半年の活動期間で取り組み、これを何度も回していく方針にするのがお勧めです。