人との接触を避ける「コンタクトレス」配送や省人化に向けて、サンフランシスコやシリコンバレーに拠点を持つスタートアップが、自動運転による配送サービスの社会実装を進めている。当初は人件費の削減が大きな目的だったが、コロナ禍とそれに伴う外出制限による食料品や医薬品などの配送需要が急激に高まり、実用化が加速している。
米グーグル(Google)が本社を構えることで知られるカリフォルニア州マウンテンビュー。以前なら人々で活気に満ちている街中が、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための外出制限で、多くの店が閉店し、閑散としている。そんなマウンテンビューの街中を、ひざの高さほどのロボットが多数、走り回っている。
その正体は、スタートアップの米スターシップ テクノロジーズ(Starship Technologies)が手掛ける配送ロボットだ。専用アプリで注文・決済すると、マウンテンビューのダウンタウンにある飲食店の料理やスーパーマーケットの商品などを自宅やオフィスといった指定した場所に届けてくれる。
今回、記者はマウンテンビューのダウンタウンの近くに車を止めて、アプリからシーフードのレストランのメニューを注文してみた。9~16分で届くとのことだ。ちょうど「Uber Eats」などのフードデリバリーを注文するのと同じ感覚である。15米ドルの料理に、税金とデリバリーフィーが5.83米ドル請求された。デリバリーフィーは2~3米ドルといったところだろう。スターシップは1回のデリバリーで1~2米ドルを店舗側に請求しているという。
歩道でロボットを待つ間、ロボットがどのあたりを走っているのかがアプリ上で確認できる。注文から10分ほど待つと、歩道の向こうから記者の前に向かってやってきた。ひざの高さほどで、サイズはクーラーボックスより1~2まわり大きい、あるいはベビーカーよりやや小さい印象だ。早歩きほどの速度で近づいてくるのでそれほど圧迫感はない。配送ロボットの前に進路をふさぐように立ってみたところ、ぶつからずに停車した。
到着後、アプリ上で確認ボタンをスワイプすると白いロボットの蓋のカギが外れ、品物を取り出すことができる。蓋を閉めるや否や、そそくさと方向転換して、レストランに戻っていった。マウンテンビューではレストランのほか食料品店など5~10店舗が実験に参加している。