新型コロナウイルスや将来やってくるであろう新たな感染症の拡大防止に向けて、テクノロジーを総動員して、「コンタクトレス(非接触)社会」に移行しつつある米国。それでもすべてを非接触化することはできない。そこで今、米国で注目を集めているのが、⼈が⼿や靴で触れる部分を殺菌・消毒する技術だ。中でも、「深紫外線」と呼ばれる、紫外域の中でも波⻑が⾮常に短い光による殺菌技術が脚光を浴びている。
2020年5月、米メディア大手CBSのテレビ番組「60 Minutes」で紹介された⽶アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)のある新型コロナ対策が話題を集めた。同社が開発中のロボットである。人が触ったところなどを殺菌するため紫外線光源を搭載する。アマゾンは、精算作業が不要な、いわゆる「レジレス」の直営店舗「Amazon Go」を運営しているほか、米国のスーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を傘下に収めている。物流倉庫だけでなく、こうした店舗での導入を視野に入れた取り組みだろう。
翌月(6月)には、半導体メモリー大手の米マイクロン(Micron Technology)が紫外線殺菌に向けたロボットのデザインコンテスト「UV Robot Design Challenge」を主宰すると発表。これまでとは一風変わったテーマのロボットコンテストだけに話題をさらった。同コンテストでは、殺菌の自動化や新型コロナウイルスの感染拡大の抑制などに向けて、信頼性が高く、かつコストが安い紫外線照射ロボットの開発を促すのが目的だ。2020年8月30日までアイデアを募集し、同年9月14日に受賞者を発表する予定。同社が新型コロナで影響を受けた人々を支援する目的で設立した総額3500万米ドルの基金を基に実施するという。