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下流側の車線を通行止めにして、劣化した橋桁と鉄筋コンクリート(RC)床版を撤去。鋼床版鈑桁に架け替える。上流側を片側交互通行で供用しながら施工していたところ、橋脚の下流側の側面にひび割れが見つかった。施工中や施工後は上部工の自重が軽くなるはずなのに、なぜ?

 宮城県登米市と石巻市の市境を流れる旧北上川に架かる県道21号の豊里大橋で2019年5月、異変が見つかった。桁と床版の架け替え工事を進めていた作業員が、鉄筋コンクリート製の橋脚に長さ1~2mのひび割れが複数生じているのを発見したのだ。ひび割れ幅は最大で0.9mmあった。

ひび割れが生じた豊里大橋のP1橋脚。高さは6.7mで、下端は以前の耐震補強工事で鋼板を巻き立てていた。2019年5月に撮影(写真:宮城県)
ひび割れが生じた豊里大橋のP1橋脚。高さは6.7mで、下端は以前の耐震補強工事で鋼板を巻き立てていた。2019年5月に撮影(写真:宮城県)
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右岸側の宮城県登米市から見た豊里大橋。手前の下流側は新しい鋼床版鈑桁に架け替え済み。20年3月に撮影(写真:日経クロステック)
右岸側の宮城県登米市から見た豊里大橋。手前の下流側は新しい鋼床版鈑桁に架け替え済み。20年3月に撮影(写真:日経クロステック)
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 県は19年10月、設計ミスがあったとして、詳細設計を手掛けた千代田コンサルタント(東京都千代田区)を6カ月の指名停止にした。

 豊里大橋は橋長348.9mの12径間単純鈑桁橋で、1970年に完成した。約50年がたち劣化しているため、県は2013年度に耐震補強を兼ねた補修工事に着手。18年6月までに、11本ある橋脚全てを鋼板で巻き立てる耐震補強工事を完了した。

 18年2月からは、上部構造の鈑桁とRC床版を更新する工事を始めた。軽い単純鋼床版鈑桁に架け替え、耐震性能も高める。川田工業・只野組・只野建設JVが施工。工事費は約32億円で、21年3月の完成を目指す。

 豊里大橋は交通の要衝であるうえ、付近に仮橋を設けるスペースがない。そこで、2車線のうち片側1車線を規制して、半断面ずつ桁と床版を架け替える工法を採用した。

片側を供用しながら施工
片側を供用しながら施工
豊里大橋の断面図。半断面ずつ桁と床版を架け替える(資料:宮城県)
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 橋脚にひび割れが見つかったのは、下流側の車線で古い鈑桁とRC床版を撤去し、架け替え前の上流側を片側交互通行で供用している時だった。ひび割れは石巻市側にあるP1、P2橋脚の2本で計9カ所に発生。いずれも下流側の側面に生じていた。

 P1、P2橋脚とも耐震補強済みだったが、鋼板を巻き立てたのは柱部の下端から2.3mの範囲だけ。ひび割れは鋼板を巻き立てていない部分にできていた。