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設計者は、底版の主鉄筋の中心からコンクリート表面までの芯かぶりを規定通り11cm確保して設計。ところが、発注者は「鉄筋のかぶり不足が判明した」として、設計者を1カ月の指名停止に。どこが間違っていた?

 神奈川県内で工事が進む厚木秦野道路で、計13基もの現場打ちボックスカルバートの設計に鉄筋のかぶり不足が見つかった。いずれも設計を手掛けたのは大日本コンサルタントだ。設計を委託した国土交通省関東地方整備局は2019年12月、同社を1カ月の指名停止にした。

 ミスが発覚したきっかけは、工事を受注した人の森(神奈川県海老名市)からの指摘だった。着工前に設計照査したところ、底版の上面と下面に鉄筋のかぶり不足が判明した。

 国交省は大日本コンサルタントが担当した関連業務の成果品をチェック。6件の業務で同様のミスが芋づる式に見つかった。6件中5件は同一人物が管理技術者を務めていた。

 ミスが見つかった13基のボックスカルバートの用途は道路や地下歩道、水路など様々だ。いずれも着工前だったので、工事のやり直しなどは発生しなかった。

 施工者の指摘でミスが最初に判明したのは、神奈川県伊勢原市で着工直前だった上粕屋北1号函渠だ。厚木秦野道路の盛り土の下を、既存の排水路が横断できるように設ける。最大土かぶりは12m。底版の上面にはD32の主鉄筋を2段で、下面にはD29の主鉄筋を1段でそれぞれ配置する。

施工を終えた上粕屋北1号函渠。施工者が着工前の設計照査でミスに気づいたので、構造物は問題なく仕上がった(写真:国土交通省)
施工を終えた上粕屋北1号函渠。施工者が着工前の設計照査でミスに気づいたので、構造物は問題なく仕上がった(写真:国土交通省)
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上粕屋北1号函渠の配筋。底版の縦方向にスターラップが付く(写真:国土交通省)
上粕屋北1号函渠の配筋。底版の縦方向にスターラップが付く(写真:国土交通省)
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底版の芯かぶりは11cmを確保
底版の芯かぶりは11cmを確保
上粕屋北1号函渠の設計。国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成
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 建設省(当時)が1999年に定めた「土木構造物設計マニュアル 土工構造物・橋梁編」によると、主鉄筋の中心からコンクリート表面までの芯かぶりを底版では標準で11cm確保するよう定めている。大日本コンサルタントの設計は、この規定を満たしていた。