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台風で被災した護岸を、巨石を積み上げて復旧した。ところが、完成からわずか数年後、会計検査院の実地検査で護岸の基礎に洗掘が見つかった。設計者と施工者が繰り返したミスを、発注者が見抜けなかったのはなぜ?

 三重県が2015~16年度に実施した田光(たびか)川の砂防堰堤などの災害復旧事業で、施工した巨石積み護岸の基礎が延長7.5mにわたって露出する事態を招いていた。完成からわずか数年後のことだ。会計検査院が19年11月に公表した18年度の「決算検査報告」で明らかになった。

完成から数年後、根入れ不足による洗掘で延長7.5mにわたって基礎が露出した田光川の護岸。2019年3月に撮影(写真:三重県)
完成から数年後、根入れ不足による洗掘で延長7.5mにわたって基礎が露出した田光川の護岸。2019年3月に撮影(写真:三重県)
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 複数のミスが重なっていたものの、護岸は完成。途中の段階で誰も誤りに気づかなかった。

 最初にミスを犯したのは設計者だ。設計の対象は、台風で被災した延長約43mの護岸など。河床の洗掘を防ぐため、上流寄りの区間に厚さ80cmの床固め工を設ける計画とした。

 巨石積み護岸の根入れ深さは、床固め工を設ける区間で床固め工の厚さと同じ80cmを確保。一方、現場の地質が砂れきで、床固め工を設けない下流寄りの区間の根入れ深さは1mとした。

 ところが、設計者は図面を作成する際、護岸の天端の勾配が上流から下流に向けて一定ではなく、途中で1mほど不自然に下がる折れ線状に描いてしまった。

田光川の左岸に施工した巨石積み護岸の側面図。設計者は当初設計で、護岸の天端が図の点線のように不自然に折れる図面を誤って作成した。会計検査院の資料に日経クロステックが加筆
田光川の左岸に施工した巨石積み護岸の側面図。設計者は当初設計で、護岸の天端が図の点線のように不自然に折れる図面を誤って作成した。会計検査院の資料に日経クロステックが加筆
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